世界のワイン業界、2023年の重大ニュースまとめ

2024年 1月10日

1. 世界のワイン生産量が最低を更新

世界的異常気象により、多くの産地が困難に直面した2023年、フランス ボルドーではブドウべと病が発生し、米国NY州のワイン産地フィンガー・レイクスでは前例のない規模の霜が降った。イタリアは厳しい天候に見舞われ前年比最大14%減の収穫量が予想され、チリでは2月の収穫直前の山火事により、10万ヘクタール以上の土地が影響を受け、貴重な葡萄古木も多く失われた。これらの状況から、2023年の世界のワイン生産量は1961年以来最低となり、総生産量は2022年比7%も減少するとの予測に至った。

2 .白ワイン人気と高級志向への転換トレンド

2023年は低価格ワインに対する世界的な需要の減少と白ワイン人気の復活を示す動きが多くみられた年となった。

Treasury Wine Estates (TWE) はオーストラリアのカラドック・ワイナリーの閉鎖やカリフォルニアの人気ワイナリー、DAOUヴィンヤードの最大10億ドルでの買収合意によって、バーゲンワイン市場からの脱却と高級ワイン部門を拡大する動きを示した。

E. & J. Gallo Winerは、この夏、カリフォルニア・シャルドネの強豪ロンバウアー・ヴィンヤーズを買収した。それからわずか1週間後、E.&J.ガロのラグジュアリー・ワイン・グループは、ナパ・ヴァレーでは珍しい白ワインを独占的に生産するイタリア風ワイナリー、マッシカンの買収計画を明らかにした。

The Duckhorn Portfolio Inc.は11月、ブラウン・フォーマン社から米国第3位の高級シャルドネ・ブランドであるソノマ・カトラー・ヴィンヤーズを買収することで合意した。この買収により、ダックホーン・ポートフォリオは高級ワイン路線を拡大し、白ワインの提供も強化することになる。

3.生産量の多い産地がワイン生産を削減

若者間でカクテルやRTDの人気が急上昇を続ける中、お買い得ワインの需要が減り、多くの大量生産ワイン生産者が苦境に立たされている。

10~15ドル台のワインの大規模生産で知られる米国ワシントン州のChateau Ste. Michelle Wine Estatesは生産者からのブドウ購入を今後5年間で40%以上削減する決定を発表した。

同様に、南フランスの産地も減産を余儀なくされ、同国政府は余剰ワインの破棄に2億ユーロの資金を支出した。

4.ワイン業界にもAIがやってきた

ChatGPTや同様の機械学習プログラムが人気を博した2023年、AIがマスターソムリエ試験の3つのレベルに合格し、化学成分だけでボルドーの一流生産者を100%の精度で当てることができたと報告された。

VinePair, Dec.26, 2023

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