地元に戻るクラフトビール・メーカー

2023年 6月29日

米国カルフォルニア州サンフランシスコを代表する歴史あるクラフトビール、アンカー・スチーム・ビール、を生み出したアンカー・ブリューイング(Anchor Brewing)社(現在、サッポロビールホールディングス(株)傘下)は、今後、同社ブランドを州外では一切生産・販売しないことを最近明らかにした。アンカー・ブリューイング社は、売上高の70%を占めるカルフォルニア州での販売に注力する。

米国ゴールド・ラッシュで沸いた1890年代にサンフランシスコに創業した同社は、インフレが材料費に及ぼす影響に加え、クラフトビール市場の競争激化、同社特有の“スチーム”醸造方法にかかる費用を考慮し、丸1年をかけこの決断に至ったと言う。

このような地元回帰の現象は、アンカー・ブリューイング社に限ったことなのだろうか?

およそ10年前、地域に根差していた米国のクラフトビール醸造所の多くが、そのビール販売網を全米にまで拡張しクラフトビール・ブームとなった。その勢いは、クラフトビール・メーカー自らマーケティングをする必要性を感じないほどであった。しかし、米国どこに行っても様々な地域のクラフトビールが入手できる今日、クラフトビール・メーカーがどのように消費者を魅了し続けられるか… それはマーケティングのための予算と手法にかかっている。

 

VinePair, Jun.19, 2023 / SFGATE, Jun.12, 2023

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