飲料を家で調達する時代
2023年 5月11日
飲料容器は、リサイクル率が高いアルミ缶やビンがあるものの、いまだにリサイクルされずに捨てられることも多い。しかしもし、飲料を家で調達することができれば、使い捨て容器は全くなくなるのではないか…。
そんなビジョンを持った起業家二人がそれぞれ新規事業を企てている。
Cana社の創業者は、米国のSFテレビドラマ “スター・トレック” シリーズに登場する、飲食物を複製する装置、“フード・レプリケーター”から発想を得た装置を現在製作中である。飲料フレーバー、砂糖、濃縮アルコールが調合され、カクテルからコーヒー、ソーダまで様々な飲料生成を可能にするカートリッジを備えた装置で、しかも、家のキッチン・カウンターに収まる装置。もちろん、栄養成分なども考慮して各人の好みに合ったレシピも可能である。エネルギー、二酸化炭素を抑え、輸送費・材料費も含め低コストで調達可能なのが特徴である。
もう一つの新興企業Bar.on社による“ドリンク・プリンター”の場合には、対象をビールのみに絞った。“The One Tap”は、ホップの効き具合、アロマ、アルコール含有量、ビール・タイプ等を調整することが可能である。醗酵工程を経ず、また、輸送不要であるため、前者と同様に炭素排出量を大幅に軽減する。包装を最小限に抑え、水を効率的に利用する。
当然のことながら、これら2種の装置が作り出す飲料は美味しくなければ、上記の特徴も全く無意味なものとなる。販売価格もまた重要である。Cana社の装置の場合、1台900ドル程度と予想されており、購入者は少なくとも最初は限定的となる。
今後、これらの不確実な要素を提示した上で需要が充分にあることを投資家に納得させるには多大な時間を要するであろう。ただ、消費する飲料が、今ほど環境に負荷をかけることがないという点で、チャンスはあると思われる。
Forbes, May 5, 2023