ハドワイザーはもはや “キング” ではない
2022年12月13日
アンハイザーブッシュ・インベヴ(Anheuser-Busch InBev)(以降ABI)社は、100ヵ国以上に500ブランドを売る、世界中で最も知られているビールを醸造するメーカーである。
一方で、米国でのビール消費量は1980年当時と比べて30%も減少している。2011年米国ビール市場でほぼ半分、46.7%、を誇っていたABI社シェアは、2021年には38.6%にまで落ちた。
ABI社は今年、33年間継続した、米国最大のスポーツイベントであるスーパーボウルでのアルコール飲料会社向け独占広告枠に一区切りをつけ、2023年には契約更新しないことを明らかにしたが、その理由は、同社旗艦ブランドのバドワイザー及びバドライトの昨今の売れ行き不振ともささやかれている。
ABI社は、現在、強引な買収とコスト削減実施で知られるブラジル・米国の投資ファンド、3Gキャピタル社の傘下にあるが、これは、プレミアム化、並びに、ビール以外の、いわゆる“Beyond Beer”飲料、への積極的参入戦略をABI社が今まで以上に推進するのを理解する上で、重要な要素の一つでもある。
米国では21~34歳の若い消費者層のビール離れが顕著であり、Beyond Beerカテゴリーをめぐり小規模醸造会社と大型ビール・ブランドとの競争は日々激しさを増している。
ABI社が、それでもなお、米国労働者のために買い求めやすいビールを醸造する会社であり続けるのか、それとも、時代とともに変化し、高級感ある、プレミアムなイメージを新たに提供するのか、それは消費者が決めることになる。同時に、“Brewing”は、他の飲料とは異なる事業ではもはやなく、むしろ、もっと広範囲にわたる飲料を含む、競争の激しい業界の一つであると今後見なす必要がある。
CNBC, Nov.30, 2022