クラフトビール復活

2022年11月10日

クラフトビールは、一般的に、通常のビール・スタイルに何かしらかの新しさを加えて造る職人の手による製品であり、それは、マルチパックで小売店販売されるというよりもむしろ、地元の醸造所併設バー/レストランでタップから出来立てを味わうことを特徴としている。米国消費者のほとんどが、10マイルも行けばクラフトビール醸造所に行き当たる場所に住んでいると言われ、併設バー/レストランが一種の地元民集会の場になっている。

そのため、ここ数年間新型コロナウイルス感染症拡大による外出規制は営業に直接影響を及ぼし、一部は手指消毒液にも利用されたものの、廃棄されたクラフトビールは8~9億ドル分にも上ったと言われる。

しかし、2021年、米国のビール販売数量は、ビール全体としては前年比わずか1%増に終わったものの、クラフトビールに限っては同8%増、売上高では同21%増を記録したと、米国ブリューワーズ協会は報告した。現在、クラフトビールが米国ビール市場全体に占める割合は、13.1%である。

2021年のクラフトビール成長ぶりは、年後半の消費者によるバー/レストランの利用復活によるところが大きい。今年も引き続き、缶ビール売上がさほど伸びていない一方で、クラフトビール売上上昇が期待される。

タップから注がれる鮮度の高さを売り物とするクラフトビールは、いまだに続くサプライ・チェーン混乱、及び、輸送費高騰の影響を、小売ビールよりも受けにくく、その点も有利に働いている。

消費者がバー/レストランに戻ってきたことに加え、ビール中心の人気フェスティバル ー ミュンヘンのオクトーバーフェスト、デンバーのグレート・アメリカン・ビール・フェスティバル ―もコロナ前とほぼ同じ形式で今年再開された。

さらに、昨今のノン・アルコール・ビール人気も米国で勢いを増している。

クラフトビール成長を導く要素は、今後まだまだありそうである。

 

SmartBrief, Oct.28, 2022

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