ビールが蒸留酒にシェアトップを奪われる時

2022年11月 1日

ビールが、12年間連続して蒸留酒(spirits)に市場シェアを譲っている。

米国蒸留酒協会(DISCUS)によれば、2021年米国アルコール飲料市場の内訳は、ハードセルツァーを含むビール・カテゴリーがシェア42%、蒸留酒41%、ワイン16%となった。蒸留酒がじわじわとビールにせまっており、このままのペースが続けば数年後には蒸留酒がシェア・トップになる可能性もある。

この状況は、大手ビール・メーカーの最近の動向にも反映されている:

世界最大のビール醸造会社、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社は、今やハードセルツァー、缶ワイン、缶カクテルも提供 / モルソン・クァーズ社は、2019年に社名からビールを連想させる“Brewing”を外しMolsonCoorsに社名変更、蒸留酒カテゴリーへ参入 / ボストン・ビール社は、最近、RTDテキーラ・カクテルを発売 等々。

アルコール飲料の米国内オンライン注文・配達プラットフォームのDrizly社は、過去12ヵ月間、ビール注文数でビールが前年同期比2%落とし14%、一方の蒸留酒は同1%増の45%を記録したと伝えている。昨今、消費者は、多少値段が高くとも、量ではなく質を選ぶ傾向にあるとDISCUSは報告している。

しかし一方で、ビール・カテゴリーだけを見ると、実際には、プレミアムの売上は前年比1%増加しており、中でもクラフトビールは前年比8%増となったことを米国ブリューワーズ協会は指摘する。ビールにおいても、蒸留酒の場合と同様、米国消費者が、種類/フレーバーが豊富で、品質の高いビールを、価格よりも優先していることがうかがえる。過去10年間、ビール・カテゴリーは、クラフトビールの存在があったからこそ、シェアを維持できていると、米国ブリューワーズ協会はコメントしている。最近のライト・ラガー(低アルコール)、ノン・アルコール・ビールの人気も、今後、ビール・カテゴリーを支える上で重要な要素になりそうである。

CNBC, Oct.27, 2022

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