2022年 7月12日

米国で半世紀以上、標準型として売り場や自販機で一般的に使用されている12oz(約335ml)アルミ飲料缶が、よりスリムな缶に売り場スペースを奪われつつある。

米国の多くの飲料メーカーが、最近では、製品の一部で、同じ12ozの容量でありながら従来よりも少し背が高く、そして、細身なタイプの缶を使用している。ミネラルウォーター・ブランドのサンペレグリノやビールのハイネケンなどは、従来のがっしりした缶からスリム缶に完全な移行を試みている。

以前は主にエネジー・ドリンクに使用されていたスリム缶は、標準タイプの缶が並ぶ小売店の陳列棚で、ひときわ目立つが、サステナビリティ、プレミア感、ヘルシーなイメージ等を消費者に印象付けることも意図して使用されている。2010年代には、低炭水化物・低カロリーを売りとするハード・セルツァー・ブランドのWhite Claw及びTrulyがそれぞれ高い人気を集めたが、スリム缶を使用している。この1月には、アンハイザー・ブッシュ社が、ゼロ炭水化物ビールのバド・ライトNext発売でスリム缶を採用した。

スリム缶は、さらに、細い形状であるため、輸送費削減に寄与し、また、店頭では、10~20%多く製品を陳列することができるため、結果として3~5%の売上増も可能となると言う。

ハイネケン米国社は、昨年フロリダ州で、旗艦ブランドのハイネケン・ビールをスリム缶で販売したところ、売上が着実に伸びたため、そのまま全国展開につなげることができたとコメントしている。

モルソン・クァーズ社は、ここ数年の間、スリム缶製造に特化した新生産ライン建設に投資を続けており、現在では、年間7億5,000万缶以上のスリム缶を製造する能力を持つ。同社は、ビール(Blue Moonブランド)、及び、ハード・セルツァー(Vizzyブランド)を含む人気ブランドにスリム缶を採用し販売している。

The Wall Street Journal, July 6, 2022

業界情報一覧