ボール社新方針で、クラフトビール業界に懸念広がる
2021年11月25日
コロナ禍で米国のアルミ飲料缶不足は飲料業界にとり依然深刻な問題である。それを解決すべく、世界最大のボール社(米国コロラド州)は、他の飲料缶製造会社と同様に、多額を投じ新しい製造工場建設・製造ライン増設を早急に進めている。
先週、そのボール社が、将来の飲料缶供給の制限の必要性を考慮し、契約を更新していない国内ビール醸造会社に向け、来年1月1日より、飲料缶注文に際し、これまでの数量の最低でも5倍の数の印刷缶をSKU毎に発注することが条件になること、そして、顧客向け缶を従来のようには同社で在庫しないことを告げた。具体的には、これまでセミ・トラック1台分に相当する204,000缶の最低発注数量が、今後1,020,000缶 - 大半のクラフトビール・メーカーには不要な、あるいは、経済的に購入不可能な、あるいは、保管不可能な数 - になるということである。
ボール社は、この条件をのめないビール・メーカー向けに、救済策として、提携する卸売業者四社を通じて購入することを提案している。そこではシュリンクラップ・ラベルも提供するとのことだが、環境保護を推進するボール社が、リサイクル不可能なシュリンクラップ・ラベル使用を提案するのは皮肉である。しかも、このようなルートで購入し充填・ラベル装着する缶のコストはさらに高額となる。むしろ、トラック5台分の缶をボール社から購入し余る4台分をリサイクル業者に引き渡した方が安くつくと、あるクラフトビール・メーカーはコメントしている。
Westword, Nov.18, 2021