トランプ大統領、EU酒類に200%関税を警告

2025年 3月21日

トランプ大統領は、EUがアメリカのウイスキーに50%の関税を課す計画を発表したことを受け、EUからのワインやシャンパン、その他アルコール製品に200%の関税を課すと脅した。

 

これに対して、EUのワイン業界団体CEEVは、この関税が実施された場合、アメリカ市場がEUのワインにとって事実上閉鎖されると警告した。2024年のEUワイン輸出は167億1,000万ユーロ(約181億5,000万ドル)で、最大の市場の一つであるアメリカへの輸出は53億ドル規模にのぼり、29%のシェアを占めているため、関税による損失は業界にとって壊滅的になる。

 

また、イタリアのワイン業界団体は、アメリカの関税が同国のワイン輸出に約10億ユーロの影響を与える可能性があると警告しており、ドイツ市場など他の市場にも影響が及ぶと懸念している。

 

EUはアメリカの鉄鋼やアルミニウムに対する関税に報復する形で、4月1日から段階的に新たな関税を導入する計画を発表し、対象製品にはワインやジン、ウイスキーなどが含まれている。トランプ大統領は、この報復関税がアメリカの酒類業界に有利に働くと述べており、特にアメリカのワイン・シャンパン業界を支持すると主張している。しかし、もともとアメリカのワインがEUのターゲット製品リストに含まれることに強く反対していたEUのワイン業界は、これはそもそもの鉄鋼やアルミニウム貿易問題とは無関係であるとして、関税対象からワインを外すよう強く訴えている。

 

ワイン業界だけでなく、EUの蒸留酒業界団体「SpiritsEurope」もトランプ大統領の発言に懸念を示し、「私たちの業界を交渉のカードとして使うことはやめるべきだ」と声明を発表した。また、アメリカの蒸留酒業界団体DISCUSも、EUとの酒類協定の締結を求め、両国間での公平な貿易関係の回復を提案している。

VINEPAIR, March 13, 2025/ Just Drinks, March 13, 2025

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