EU、苦境の米国ウイスキー産業に50%の関税

2025年 3月19日

3月12日、EUがアメリカのウイスキーに50%の関税を課す計画を発表した。

4月1日から実施予定で、ウイスキーの他、オートバイやモーターボートなどが対象となる。

 

2018年、第1次トランプ政権下でもヨーロッパ産鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%と10%の関税を課し、EUはウイスキー等への報復関税で対抗した。そのため、アメリカのウイスキー最大の輸出市場であるヨーロッパへの輸出は2018~2021年の間で20%減少し、5億5200万ドルから4億4000万ドルとなった。

 

バイデン政権下で関税が一時的に停止され、近年、アメリカのEUへのウイスキー輸出は回復し、439百万ドルから699百万ドルに増加。欧州市場はアメリカのウイスキーにとって明るい兆しとなっていた。

 

しかし、トランプ政権が再度関税引き上げを発表したことにより、EUも対抗措置をとることになり、これはアメリカの輸出に245億ドルの影響があると予測されている。EUがさらに多くのアメリカ製品に関税を課す場合、影響額は280億ドルに達する可能性もある。

 

アメリカのウイスキーの全体売上は2年連続で減少しており、今回の対抗措置は米国ウイスキー業界への大打撃となり得る。

アメリカ蒸留酒協会の会長兼CEOであるクリス・スウォンガー氏は「アメリカ国内市場で蒸留酒業界が減速している今、こうした関税を再導入することは成長を抑制し、国内の蒸留業者や農家に悪影響を与えることになる。」と警戒感を示している。

VINEPAIR, March 12, 2025

業界情報一覧