ノン&低アルコール飲料、世界的に増加傾向
2024年11月 6日
世界のアルコール飲料業界において、ノンアルコール飲料の市場規模はまだ小さいものの、その市場は成長を続けており、業界の大手企業による投資も続いている。グローバルデータ社の最新市場分析によると、世界のノンアルコールビールとサイダーを合わせた市場規模は、2027年までに116億ドルに達し、2024年の予測から約16%成長するという。 ノンアルコール・スピリッツの市場規模はまだ小さいが、より大きな成長が予測されており、2024年から2028年の間に36.7%増し、4億7,890万ドルになると予測されている。 アルコール業界の大手企業も注目しており、M&A、ブランド拡張の開発、独立したノンアルコール製品の発売、専門施設や技術への投資など、この分野で大きな動きを見せる企業が増えている。
以下にいくつかの大手の動向をピックアップする。
Diageo(ディアジオ)
英国に本社を置くアルコール飲料大手ディアジオ社は、ノンアルコール・ブランドの拡張に多大な投資を行ってきた。アルコール度数ゼロのキャプテン・モルガンやタンカレー、ギネス0.0など、その数は多岐にわたる。
昨年7月、ギネス・グループはアイルランドのダブリンにあるセント・ジェームズ・ゲート工場で、ギネス・スタウトのノンアルコールの生産能力を増強するために2500万ユーロを投資すると発表。 2階建ての施設を建設する計画で、6基の処理容器を備え、総容量は50万ヘクトリットルとなり、ノンアルコールギネスの生産能力が300%向上すると主張している。
Pernod Ricard (ペルノ・リカール)
パリに本社を置く同社のノンアルコールラインアップは、様々なブランドとブランド拡張から構成されている。 同グループのゼロアルコールへの参入は、1982年のパシフィック・ノンアルコール・アニスの発売まで遡り、他にも2021年に買収したスウェーデンのセダー社のボタニカルをベースにしたスピリッツやジェイコブズ・クリークのアンヴァインワイン、フランス限定のスーズ・トニック0%アペリティフなどのブランドがある。 今年初めには、現在スペインでのみ販売されているビーフィーター・ジンの0.0%ヴァリエーションも発売し、シーグラムの0.0%ヴァリエーションも2023年1月からスペインで販売している。 ペルノーは、ノンアルコール分野、特にアガベベースのレディ・トゥ・ドリンクへの投資にも手を出している。
直近の2023年版年次報告書では、同グループはノンアルコール・スピリッツの「専門知識を加速させるための新しい技術設備」にも投資している。
Anheuser-Busch InBev(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)
べルギーと米国の大手ビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)も、ノンアルコール・カテゴリーに注力しているビール会社である。 レッフェのビールメーカーは、2019年以降、ポートフォリオのノンアルコール・低アルコールビール製品の数を60%増やし、数量も23%以上増やした。
また2023年、ベルギーのシン=ピーターズ・リュー、ヘーガルデン、ルーヴェンの3箇所にある醸造所のノンアルコール醸造技術の改修に3,100万ユーロを投資し、自社ブランドの拡張開発に注力している。
アンハイザー・ブッシュの米国部門は9月、アルコール度数0%のミシュロブ・ウルトラ・ゼロを発売する計画を発表し、2025年1月から「ミシュロブ・ウルトラが販売されているところならどこでも」購入できるようになるという。
Campari Group(カンパリ・グループ)
イタリアの蒸留酒大手カンパリも、ノンアルコール飲料の選択肢を事業戦略の重要な一部と考えており、特にノンアルコール食前酒に力を入れている。
ミラノに本社を置く同社は1995年、イタリアのアルコール度数0%の食前酒「クロディーノ」を買収し、初めてノンアルコールの分野に参入した。 このブランドは1960年代からイタリアで販売されているが、オーストリア、スイス、フランスなどの新市場に導入されたのはごく最近のことだ。 カンパリは2021年に英国でこの飲料を発売、また同年ザ・ノーツという独立したノンアルコール・ブランドの展開も開始している。 このブランドはオフプレミスでの使用を想定しており、現在イタリアで販売されている。
Bacardi(バカルディ)
非上場企業のバカルディは、ノンアルコール・スピリッツのカテゴリーに参入した初期の重鎮で、この分野での最初の一歩は、2020年にヨーロッパでアルコールフリーのマティーニ・シリーズを発売したことで、最終的には2022年に北米に進出した。
また1993年以来、低アルコールのベルモットブランド、マルティーニ・ロッソを所有しており、2013年には低アルコールのサンジェルマン・リキュール・ブランドを買収している。
Moët Hennessy Louis Vuitton (LVMH)(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)
ノンアルコールワインはまだ新興市場だが、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)はこの分野に関心を示している従来型ワインの大手生産者で、最近この分野に足を踏み入れる動きを見せている。
10月初旬には、フランスのアルコールフリー・スパークリング・ワイン・ブランド、フレンチ・ブルームの少数株を取得した。
JustDrinks, October 25, 2024