ロシア、Silgan社の製缶資産入札者を募集

2024年 9月11日

ロシア連邦国家財産管理庁(Rosimushchestvo)が、今年7月に差し押さえた北米の大手食品缶メーカーであるSilgan社のロシアにある2つの食品缶工場-モスクワ州のSilgan Metal Packaging Stupino LLCとアディゲア州のSilgan Metal Packaging NM LLC-の売却先を探している。

 

ロシアの包装ビジネスアナリスト、ミハイル・ブルミストロフ氏によると、両工場は2023年に生産を停止している。「2021年、ロシアの缶詰市場におけるSilgan社のシェアは約15%であったが、2022年には10%に減少し、2023年にはゼロとなった。この工場では、様々なサイズの食品用アルミ缶を製造しており、エンドは標準タイプとイージーオープンタイプがあり、年間生産能力はStupino工場が1億個、NM工場が2億5,000万個であった」という。

 

工場は国有化された後、専門投資家に売却されると見られており、ロシア国内の報道によると、アーネスト・グループなどが有力視されている。しかし、アーネスト・グループの代表者は、現在Silganの資産買収交渉は行っておらず、エアゾール缶と飲料缶事業の発展に注力していると述べている。アーネストは、2022年2月のウクライナへの攻撃とそれに続く外資系企業の撤退を受けて、ボール社から飲料缶事業を買収した。

 

ブルミストロフ氏によるとロシアでは食品用金属パッケージの市場が非常に好調であるため、Silganの設備は地元の大手食品メーカーや加工業者を惹きつる可能性がある。しかし、二つの工場の設備や機械のほとんどが欧米製であるため、両施設のメンテナンスや整備には懸念がある。 

 

ロシアアルミニウム協会のデータによると、ロシアにおけるアルミニウム包装の需要は着実に伸びている。

2023年、ロシアにおけるアルミ缶の総生産量は、約100億個で、そのほとんどが飲料用であった。

ロシアの軍事経済とそれに伴う一般ロシア人の購買力の大幅な上昇の下、2024年も市場は成長すると予測されている。しかし、2025年の見通しは不透明だ。

 

ロシアの製缶業界にとって最大の問題は、熟練・未熟練を問わず労働者が不足していることだ。ロシアの製缶セクターの平均賃金は伸びているが、大半の労働者はより高い給与を提供する軍需生産施設での就職を希望している。

また、現地の移民法が国内での移動を制限しているため、経済移民が国内の製缶施設に就職する機会を狭めている。 

 

一部のアナリストは、市場の統合と競争の減少に伴い、ロシアのアルミ缶価格が年末までに急上昇すると予想している。

The Canmaker, August 30 , 2024

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