オランダ、缶デポジット制度による弊害

2024年 7月16日

オランダでは2021年に小型ペットボトルのデポジット制度が導入され、昨年には飲料缶もその対象に加わった。缶購入時に0.15ユーロが加算され、指定の収集場所に空き缶を返すと0.15ユーロが返金される仕組みで、年間1億5,000万個も遺棄される飲料缶の回収率を増やすことを目的としていた。しかし、ゴミを減らそうとしたこの制度がかえってゴミ問題を増やしているという。放送局NOSが情報公開請求を通じて入手した情報によると、オランダ政府は本制度によって生じるであろうゴミあさり問題をまったく予見していなかった。

アムステルダム、ナイメーヘン、アイントホーフェンなどの都市では、現金と交換する缶を探している間に、ゴミ箱を壊して路上にゴミを散乱させるという問題が発生している。アムステルダムでは、デンマークで使われているような、ゴミ箱破壊防止の外付けのラックを備えたゴミ箱を試験的に導入しているが、大きな改善は見られていない。

NOSは、デポジット制度を担当するインフラ省が、潜在的なゴミ箱荒らしの問題を想定することなく、主に収集場所、収集量、各団体の反応に焦点を当てたと報告している。同省は、"デポジットハンター "がゴミ箱からではなく、路上に廃棄されたビンや缶を回収することを期待していたとみられる。

 

自治体の清掃サービスを代表する組合NVRDは、この問題を管理するために大都市ではさらに2人の常勤職員が必要になると述べ、払い戻しに応じる収集場所が十分にないことにこの問題が起因しているとした。

 

公正資源財団のロブ・ブールマン理事は、オランダは人口密度が高く、野外活動が活発なため、多くのペットボトルや缶が公共のゴミ箱に捨てられ、また貧困にあえぐ人々も多いため、ゴミ箱をあさる行為が頻発していると指摘した。

ブルーパン理事はNOSに対し、解決策として缶購入者が空き缶を適正な収集場所まで返却するモチベーションを高めるため、デポジット金額を増額することを提案している。

The Metal Packager, July 4, 2024

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