米国の飲料缶出荷量、記録的な増加

2021年 2月 2日

昨年、米国の飲料缶製造業界は、前年比6.2%増の1,032億4,000万缶のアルミ飲料缶を出荷した。これまでの過去最大年間出荷量である1998年の1,027億9,000万缶を越えるものとなった。

この劇的な増加は、特に、アルコール飲料用の缶の需要増によるところが大きく、前年比9.7%増の計422億2,000万缶を出荷した。清涼飲料水用缶の出荷量は、前年比3.9%増の611億2,000万缶であった。

昨年のアルミ飲料缶出荷量の増加分は、昨年新たに加わった製造ラインのおよそ6ライン分の製造量であるとも考えられる。昨年稼働を開始した主な新ラインとしては、ボール社のテキサス州フォート・ワース工場、及び、ジョージア州ローマ工場、そして、クラウン・ホールディングズ社によるニューヨーク州ニコラズ工場が挙げられる。これらのラインは全て最大製造能力で稼働したことが予想される。その上で、昨年は、異例の需要増に対応するため、さらに20億缶を海外から輸入せざるを得なかった。

米国のアルミ飲料缶需要増の要因は、新型コロナ感染症拡大による外出規制・飲食店休業による影響が大きいが、今後、世の中が元に戻った場合でも、缶の消費量が減少するとは考えにくい。なぜなら、アルミ飲料缶は、缶が提供するサステナビリティ、差別化を図る缶形状/サイズ/グラフィック等に注目する消費者に支えられているからである。

米国・缶製造者協会(CMI)は同時に、米国の食缶の出荷量もまた、昨年大きく増加したことを明らかにしている。野菜缶、スープ缶、ペット・フード缶各々で前年よりも増加し、全体で前年比12.8%増を記録した。ペットを飼う人が増え、また、家でのクッキング、食事、あるいは、仕事が今後定着する可能性もある。そうであれば、食缶のこの高需要もまた、コロナ禍が過ぎたのちも、しばらく続くかもしれない。

 

The Canmaker, Jan.28, 2021

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