アルミ缶は、プラスチック・ボトルに代わるのか
2019年 9月 3日
プラスチック汚染は、世界的な問題であり、それを示す様々な統計は我々に警戒感を抱かすのに十分である。毎年800万トンに及ぶプラスチックが海洋に廃棄され、海鳥の90%が、体内にプラスチックを抱えていると言う。
プラスチック・ボトルの消費量は、現在でも増えている。欧州では平均して、一人当たり年間140本、米国では同290本をそれぞれ消費する。世界全体で、それらのうち約57%がリサイクル目的で回収されており、欧州では、この数字を2029年までに90%まで上げる目標を掲げている。しかしながら、回収が必ずしもリサイクルを保証するわけではない。米国では、回収されたプラスチック材の70%が、欧州では30%が、結局ゴミ集積所で終わる。目指すべきことは、リサイクルをすることではなく、プラスチック・ボトルに代わる、環境に優しい容器を見出すことである。
そのような容器の候補の一つが、アルミ缶である。リサイクル性という一面で見た場合、アルミ缶を含むアルミ材のリサイクルは、クローズド・ループ(closed loop)である。プラスチック材リサイクルで多いオープン・ループ(open-loop)と比較し、クローズド・ループ・リサイクルは、アルミの持つ本来の機能を劣化させることなく維持する。また、バージン材使用量を削減すると同時に、製造工程での二酸化炭素排気量を軽減する。
しかし飲料用アルミ缶が全ての点で優位かというとそうとも言えない。例えば、売り場における柔軟性に目を向けると、2リットルのウォーターを缶で販売するということは実用的ではないであろう。
プラスチック・ボトル業界は、今、変化の過程にある。現時点では、バリュー・チェーン (Value Chain :価値に焦点を当てて見た、製品が作られる段階から消費者に届くまでの一連の流れ) 全体に渡り、回収とリサイクル率を向上させ、クローズド・ループ・リサイクルを高めることを目指して、様々な目標を定めている。
(Forbes, Sept.2, 2019)