アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社の香港上場中止が、ビンから缶への移行を遅らせる可能性
2019年 7月23日
世界最大規模のビール・メーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ(以降、ABI)社(ベルギー)は、予定していた子会社のバドワイザー・ブリューイング社APACの香港証券取引所での新規株式公開(IPO)を取り止めたことを先週発表した。
ABI社は、世界第一位の座を確固たるものにした2016年のSABミラー社(当時、世界第二位規模のビールメーカー)買収で蓄積された1,000億ドルに上る負債の一部に当てる資金調達を、このIPOを通じて見込んでいたと伝えられていた。巨額の負債が、同社を、市況に敏感にならざるを得ない状況にしており、今後も同社の事業拡張計画の妨げになるであろうと見られている。
ABI社の拡張計画が製缶市場に与える影響としては、いまだにビンを使用する割合の多い小規模ビール醸造所の買収を通じて、缶への移行を加速させることが挙げられる。今回の同社のIPO中止により、中国のビール市場におけるビンから缶への移行速度が、短期間ではあるが、遅くなる可能性があると懸念する業界関係者もいる。しかしながら、中国のビール・メーカーの多くが、既に積極的に缶への移行を進めていることも確かである。
“ビールは元祖ソーシャル・ネットワーク”であると言うABI社は、世界各地で、バドワイザー、ベックス、コロナの著名ブランドを含め500以上のビール・ブランドを保有する。
(The Canmaker, July 17, 2019)