缶ワイン、米国でのひとつのトレンド

2019年 7月11日

少し前までは、缶ワインは、品質よりも利便性を重視する一握りの人達が楽しむ一時的な流行のように思われていた。今でもそう思う人達は少なくないであろうが、その品質で一定の評価があるスターリング、コッポラ、ボンテッラ、サン・ミシェル・エステーツなどの米国ワイン醸造所が、缶ワインの品質基準を多少なりとも上げてきている。
米国では、ワイン市場のシェア1%にしか過ぎない缶ワインではあるが、その売上は年々確実に上昇している。消費者はボトルから缶ワインへ移行しているのかと言えばそうとも言えない。ボトルから、ボックス、ケグ、そして今は缶。その時々のマーケティングで、様々な容器が市場に登場してきた。
ボトルは、ボートやピクニックに興じる人達には扱いにくい飲料であることは度々指摘されている。ボトルは、クーラーに収めるには大き過ぎ、必ずコップやグラスを一緒に持ち運ぶ必要がある。ピノノワールかシャルドネどちらにすべきか選択を迫られる時もある。缶であれば、いくつかの種類を持って行くことができる。クーラーで楽に冷やせ、コップ持参の必要もない。ボトル一本は飲み切れないという心配とも無縁である。
缶ワインで留意すべきことは、缶ビールと同じ勢いで缶ワインを飲まないこと。ビールと比べ、ワインはアルコール含有量がはるかに多いからである。そのためか、醸造所の多くが、缶ワインを、標準的な缶ビールよりも小さめの187ml (ワインボトルの1/4) あるいは250ml (ワインボトルの1/3) の容量で提供している。

(South Florida Reporter, July 7, 2019)

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