世界で最も人気のある蒸留酒

2019年 6月25日

世界で最も消費されている蒸留酒は何かと言えば、それは、ジン、ウォッカ、あるいはウィスキー、でもない。それは、中国発祥の白酒(パイチュウ)である。
中国人が白酒にかける年間費用は、ビールの3倍であるという。
しかしながら、この白酒は、海外ではこれまで注目されることはなかった。というのも、これまで中国国内だけで需要が十分あったため、白酒メーカーは海外市場に目を向ける必要がなかったからである。
しかし、最近になり、中国消費者のワイン、ウィスキー、及びウォッカへの関心が高まり、白酒の売上にも影響を及ぼすようになってきたため、白酒メーカーは、ようやく、海外市場への本格的な進出を検討し始めている。同時に、メーカーは、白酒の輸出が、思うほど簡単ではないことを知らされつつある。
まず、欧米人は、蒸留酒をストレートで飲むよりもむしろソーダなどで割って飲む傾向がある。そうだとすると、白酒でカクテルを作るには、相当な創意工夫と材料が求められそうである。
白酒特有のアルコール度数の高さ (昔は50度以上、最近では38度が主流になっている) もまた輸出を困難にする理由の一つである。国によってはアルコール度数の高さに応じて関税も高くなる。
そのような訳で、白酒が、欧米諸国のスーパーで入手しやすくなるには時間がかかるかもしれない。だが、効果的なマーケティング次第では、その日が来るのは案外早いのかもしれない。

(The Economist, Jun.19, 2019)

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