プラスチック不使用の6缶パック・リング、デビュー
2018年12月 6日
環境に優しい容器を提案しようと、ビール業界においても、例えば、6缶パックにプラスチックの使用を避ける試みが見られている。最近では、カールスバーグ社(デンマーク)が、プラスチックを一切使用しない、接着剤のみを利用した“スナップ”6缶パックを発表 (弊社業界情報2018年9月20日付に関連記事)。また、米国フロリダ州デルレイ・ビーチのクラフトビール・メーカー、ソルトウォーター・ブリューイング社においては、大麦と小麦を原料とする缶パック・リングを同社ブランドのビールに使用し始めて既にしばらく経っている。
そして今回、世界でその名を知られるメキシコのビール・ブランド、コロナが、来年より、メキシコと英国に限定して、生物分解可能な6缶パック・リングの使用を開始する。
E6PR (6 PACK RING) 社製造によるこのパック・リングは、生物分解可能な有機物質を原料とするため、生物が消化してしまった場合においても、害を与えることはないと言われれている。
米国では、1994年以降、環境保護庁が飲料缶6缶パック・リングを全て分解可能な材料で製造するよう指導しており、多くのメーカーが、光分解性プラスチックを使用して対処している。しかしながら、このような一般的な6缶パック・リングは、曇天の多い冬の季節には分解するのに3,4月かかるため、その間に、生物が微小となったプラスチックを消費してしまう可能性が高い点が問題である。
今回発表されたコロナ社のパック・リングは、紙に近い素材を原料にする点で、飲料業界では歓迎されると思われる。特にコロナ・ビールは、アルコール飲料全般を商品に持つ複合企業体、コンステレーション・ブランズ社の傘下にあるため、このパック・リングが、将来、同社の他のブランドにも適用される可能性も考えられる。
(The Takeout, Dec.5, 2018)