コーヒー、ビールに迫るスパークリング・ウォーター
2018年 8月28日
米国でスパークリング・ウォーターと一般的に総称され、クラブソーダやセルツァーとも呼ばれる炭酸水の売上が、米国で急伸している。
これまで砂糖の入った炭酸飲料やアルコール飲料を好んで摂取していた米国消費者が、昨今の健康ブームで、糖分やアルコールをひかえた、あるいは全く含まないスパークリング・ウォーターに切り替える傾向が顕著になっている。
米国人のスパークリング・ウォーター消費量は、今では、2008年時の3倍とも言われる。輸入ブランドも含めたノンアルコール・スパークリング・ウォーターの米国小売店売上は、今年6月末までの1年間で27億ドルを記録し、それは果汁飲料の同期売上を上回ったとニールセン社は報告している。
飲料メーカーもこの分野への投資に積極的だ。コカ・コーラ社は、昨年、テキサス州で既に高い人気を誇る、メキシコで充填されるスパークリング・ウォーター・のメーカー Topo Chico社を買収した。ペプシコ社は、今年、bublyと名付けたセルツァー・ブランドを発表、先週には、家庭で炭酸水を作れるカウンタートップのマシンを供給するソーダストリーム社(イスラエル)の買収を発表したばかりである。
スパークリング・ウォーターの急成長とともに、その種類も拡張している。
カフェイン入りスパークリング・ウォーターは、エナジー・ドリンクのようであるが糖分ゼロの飲料。ビール・メーカーのアンハイザー・ブッシュ・インベヴ社が、カフェイン入りスパークリング・ウォーター・メーカーのHiball社(米国サンフランシスコ)を昨年買収した。
一方、アルコール入りセルツァー(hard seltzer)は、現在、米国のフレーバー・モルト飲料全体の売上の10%を占め、ビールのシェアを奪いつつある。サム・アダムスのクラフトビールで知名度を上げたボストン・ビール社は、ここ2年間のビール売上低迷に悩まされたが、アルコール入りセルツァー・ブランド立ち上げで業績を持ち直している。ウォッカ+炭酸水、しかしアルコール含有量の少ないのが特徴である。
炭酸水の変り種としては、ビール・メーカーのハイネケン社が7月に発表したLagunitasブランドの大麻入りスパークリング・ウォーター・メーカー、Hi-Fi Hopsが注目される (弊社業界情報2018年8月9日付に関連記事)。
(The Wall Street Journal, Aug. 27, 2018)