マリファナ合法化が米国ビール業界に与える影響

2017年11月21日

マリファナが、いずれは、米国で、ここ20年近くの間にアンハイザー・ブッシュ・インベヴ社に代表される“ビッグ・ビール”にとり脅威の存在となるまでに成長したクラフトビールと同様の存在になる…とは、5年前にアンハイザー・ブッシュ・インベヴ社を去り、現在、マリファナ(cannabis/marifuana)に関連する事業に投資をするある人物のコメントである。
嗜好品としてのマリファナの使用は、米国では連邦レベルで合法化されていないものの、すでに8つの州とワシントンD.C.で合法である。つまり、米国人五人のうち一人以上が合法的に使用を認められていることになる。
昨年出版された研究報告書によれば、既に合法マリファナ取引は年間売上60億ドルのビジネスに成長しており、2026年までにはそれは500億ドルに達すると予測されている。
米国人一人当たりのビール消費量の減少傾向は、嗜好品としてのマリファナが合法化されている州で顕著に見られている。また、ビール業界は、20億ドル以上の売上を合法マリファナに奪われているとも報告されている。今後、嗜好品としてのマリファナを合法化する州が増えれば、ビール売上に更なる影響を与えるとも推測される。ビールを好んで飲んでいた人々のうち27%が、既にビールからマリファナに移行した、あるいは、合法化されれば、マリファナに換えると答えている。
マリファナ関連事業を買収することで、まもなく訪れるであろうこのチャレンジに対応しようとする食品・飲料メーカーもある。先月には、コロナやモデロなどの人気ビールを醸造するコンステレーション・ブランズ社(米国ニューヨーク州)がマリファナ製品販売会社を買収した(弊社業界情報2017年10月31日に関連記事)。
全米レベルでのマリファナ合法化にはまだ時間を要すると見られるが、合法化する州が増えるに従い、ビール業界はその影響を無視することはできない。

(Food Dive, Nov.20, 2017)

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