PETボトルの変わらない問題
2017年 9月 5日
米国人は、今では、炭酸飲料よりもボトルドウォーターを多く摂取するようになったと言われる。
米国は、一人あたりのボトルドウォーター年間消費量が世界で6番目に多い国である(1位メキシコ、2位タイ、3位イタリア、4位ドイツ、5位フランス)。
一方、米国では、使用後の空PETボトルの30%しかリサイクルされていない(ドイツでは93%がリサイクルされる)。さらに、リサイクルされたプラスチックボトルのうち25%しかボトルに再生されない。しかし、リサイクル率を上げたところでプラスチックごみによる環境汚染は完全に解決するわけではない。重要なことは、プラスチックごみそのものを減らすことである。
プラスチックはボトルに限らず生活のあらゆるところで使われているため、それを全て削減するには大変な時間と労力がかかるがその一方で、プラスチック使用量を減らす簡単な解決策もある。その一つが、水道水を飲むことである。
米国の90%の地域で、飲み水としての基準に達している水道水を摂取することができる。水道水は、ボトルドウォーターよりもはるかに厳しい規定の下で管理されている水であるにもかかわらず、水道水よりもはるかに料金の高いボトルドウォーターが“良い”としてより多く消費されている。水道水では得られないスパークリングウォーターを求めているとも考えられるが、実際は、消費されるボトルドウォーターの内訳は、92%が非炭酸ウォーターで、スパークリングウォーターはわずか8%を占めるに過ぎない。
1クォート(約0.94リットル)のプラスチックボトル1本を製造するために、石油2.6oz、石炭 2.9oz、天然ガス 1.5立方フィート、そして水0.52ガロンが必要とされる。これは、米国で1年間に消費されるPETボトルで、百万台の車を12ヵ月間走行させることが可能となる燃料量である。1本のPETボトルが完全に生物分解するのに1,000年以上かかるとの報告もある。それでも毎日、22,000トン弱のプラスチックが海に捨てられており、海鳥の90%がプラスチックを摂取してしまう環境となっている。この問題を放置すると、2050年までには、海では、魚よりもプラスチックが重量で勝る結果となる
(弊社業界情報2017年8月1日付に関連情報)。
これらの問題を受けて、米国では、プラスチックボトル使用を積極的に回避しようとの動きがある。米国サンフランシスコでの21fl.oz(約620ml)以下のボトルドウォーター販売禁止、85の大学(うち数校は米国外)での“ボトル禁止”キャンペーンの展開などがその一例である。
(lady freethinker, Sept.1, 2017)