中国飲料缶市場で進む企業統合、コスト節減、そして差別化
2017年 7月 4日
2014年には既に飲料缶供給能力過剰が懸念されていた。
現在、中国では、2ピース飲料缶製造能力はおよそ500億缶あると推定される一方で、2016年の飲料缶販売数量は360億缶であった。
依然変わらない供給能力過剰に際し一般的に取られる対策として企業間統合、コスト削減、そして差別化が挙げられるが、過去3年にわたり中国飲料缶業界でもその対策が講じられている。
中国最大手の2ピース飲料缶製造会社ORG社は、昨年、同市場2位のCPMC Cofco社株27%を取得し、両社合わせた市場シェアを19%とする。これは、長年、中国飲料缶市場を独占してきたボール社(米国コロラド州)のシェア18%を超えることになる。これまで第3位の市場規模を誇っていたパシフィック・キャン社は、今年3月に中国の投資会社により買収されたが、飲料缶製造企業としては比較的新しいShengxing社が、その投資会社の株10%を保有しており、本格的にパシフィック・キャン社の経営にも関わることと思われる。
差別化対策の一環としては、ORG社の新しいXianning工場では、日本の技術を使用するビール用アルミボトルが生産される。また、CPMC社もまた、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社向けのボトル缶への投資をしている。さらにORG社を含む複数の製缶会社は、製缶と合わせて充填能力も加えることで、飲料メーカーに対して、一箇所にて全てのサービスを提供する方向に進んでいる。
中国における飲料缶消費量が、清涼飲料水とビールともに確実に増える傾向にあることは、飲料缶製造会社にとり、うれしい知らせである。世界最大のビール市場である中国では、缶は、ビール用容器全体の22%を占めるが、その数字は、徐々にビンに追いつきつつある。
(The Canmaker, July 3, 2017)