コールドブリュー・コーヒー、米国で今一番“ホットな”飲物

2017年 6月29日

最近よく耳にする“コールドブリューイング”は、なめらかな舌触りで、丸みがあり、ゆたかな味わい…などとしばしば描写される飲料をつくりだすための工程の一種で、時間を要する工程である。この工程を短縮することは不可能である。
かつてはニューオーリンズなどの米国南部に限定される、
めずらしい、地域的なものであったこの飲料は、今や米国のどの地域でも見かけるようになった。この変化は、前衛的なカフェによりコールドブリューが採用されたおよそ10年前に始まった。それでもコールドブリューは、スターバックス社が販売開始する2015年(弊社業界情報2017年6月20日に関連記事)までは比較的ニッチな市場であった。そして、コールドブリュー・コーヒーを缶やビンに充填し、いわゆる“RTD”コーヒーとして紹介するとたちまちその市場は広がった。
コールドブリュー・コーヒーは、大衆的なアピール性とインディー的な信頼性の両者を持ち合わせるコーヒーである。
ホットコーヒーは変化しやすい。冷めると酸味が強くなり、フレーバーが変わる。その点、コールドブリューは比較的安定しているため、充填し、RTD製品として販売するのにも向いている。米国東海岸と西海岸のコーヒーハウスに供給するある卸売業者は、ビールのようにコールドブリューを20リットルのケグに詰めて販売する。そのケグの賞味期間は90日である。
また、コールドブリューは、ミルクともとても相性がいいと言われる。
一方で、誰もがコールドブリュー・コーヒーを評価しているわけではない。コールドブリューのその酸味の無さが欠点だと指摘する人々がいる。世界で最高品質と呼ばれるコーヒーは複雑な酸味を持ち合わせている。また、コールドブリューのその独特な時間をかける工程の過程でコーヒーが空気に長く触れるため、コーヒー本来の味が薄くなり、酸化させた状態になるとの見方もある。

(Star Tribune, June 25, 2017)

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