スペイン、スチール飲料缶がなくなる日も近い?

2017年 2月21日

飲料缶製造会社クラウン・ホールディングズ(以降、クラウン)社とアルダー社がともに計画を実施した場合には、スペインから、スチールD&I 飲料缶が完全になくなる日もそう遠くないかもしれない。
クラウン社とレクサム社二社で飲料缶市場がほぼ占められていた少し前までのスペインでは、飲料缶はほとんどスチール製であった。そして今、クラウン社が、同国にある二工場を全てスチール缶からアルミ缶に変更することを検討している。さらには、アルダー社も、スペインに持つ工場のアルミ缶への変更を考慮しているという。アルダー社は、昨年、ボール社のレクサム社買収に伴い生じた資産売却の一環で、欧州にある両社工場の多くを買い取っており、このスペインの工場も、昨年まではレクサム社が所有していた。アルダー社は、英国ラグビーに持つ工場を現在のスチール缶製造からアルミ缶製造に変更することを数日前に発表したばかりである。
スペイン・マドリッド近郊の都市Agoncilloと、南部のセビージャの二工場にある計5ラインのスチール缶製造ラインは、アルミ缶製造に変更した折には、計4ラインにし、うち、既存の2ラインに変更を加える一方で、残り2ラインはアルミ缶製造ラインを新たに建設する計画であることをクラウン社は明らかににしている。これは、クラウン社のフランスCustines工場でのアルミ缶製造ラインへの変更実施に続くものとなる。こちらは、今年第2四半期には完成する予定だ。
スペイン・マドリッド辺りの地域へは、ボール社が、つい最近まで、フランス南部の同社工場からアルミ缶を供給していた。しかし、この工場も昨年アルダー社へ売却されたため、ボール社は、マドリッド西部の都市に製缶工場を建設し、2018年早々には、およそ12億缶の生産能力を持って生産を開始する。
スペイン及びポルトガルは、飲料缶の高需要で、欧州内で英国に次いで大きな市場となっている。2015年、スペイン・ポルトガル両国の清涼飲料缶充填量は前年比4.7%増、ビール缶充填量は同6.8%増と報告されている。

(The Canmaker, Feb.20, 2017 / Aluminum International Today, Feb.16, 2017)

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