ビール・ツーリズム
2017年 2月 2日
細長い形状の湖が横に11本並ぶ米国ニューヨーク州北西部のフィンガーレイクス地域。その中でも特に最大のカユガ湖とフィンガーレイクス湖、及び、都市オーバーンを抱えるカユガ郡は、既に知られるワイナリー・ツアーに加えて、最近ではクラフトビール・ツアーに沸く一帯である。
人気の高いクラフトビール醸造所、プリゾン・シティ・パブのオーナーは、2014年末の創業開始直後から、訪れる客の50%が郡外(遠い所では 西海岸のオレゴン州ポートランド)からであったと記憶している。昨夏、同社が醸造するマス・ライオットが米国第1位のIPAに選ばれてからは、その割合は65%に上がった。“ビール・ツーリズム”ブーム到来である。
2014年に、1920年に施行された禁酒法以来初めてとなるビール醸造所開業をきっかけに、カユガ郡に、2つの湖に沿うように、ビール醸造所が集まり始めた。そして、今日に至るまでの短い期間に、サイダー醸造所及び蒸留酒醸造所が開業し、この現象に拍車をかけた。
全米に散らばる約4,200のクラフトビール醸造所を訪れる人々は、年間1,000万人に及び、今後も伸びると推定される。カユガ郡が、今後、クラフトビール・ツアーの目的地として、他の地域よりも抜きんでるためには何が必要なのか?米国旅行代理店トラベロシティ社による独自の公式のひとつによれば、人口百万人に対する醸造所の数が高ければ高いほど観光客を呼べるという。カユガ郡には現在、人口8万人に対し4つの醸造所がある。百万人に対し50の割合だ。これは、小規模メトロ地域の数値としては良いとのことだが、もちろんこれだけでは足りない。カユガ郡のもう一つの特徴は、ワイナリー・ツアーの地で既に知名度が高いことだ。これが強みになるのか?ワイン愛好家は、ワインのみにこだわりを持ち、他のクラフト飲料を同時に嗜む傾向は少ないとされる一方で、蒸留酒やサイダーに関心を持つ人々は、同時にビールも好んで嗜むというデータがあるようだ。
(auburnpub.com, Jan.31, 2017)