まだ終わらない プラスチック製ボトル飲料の販売禁止

2017年 1月12日

米国では、プラスチック製ボトルは、軽量且つ安価で、持ち運びに便利な容器であるが、依然としてリサイクルされずにごみと化すことがほとんどである。そのため、米国カルフォルニア州ロサンジェルス北部に位置する、人口5万人にも満たない市、サン・ルイス・オビスポの市議会は、シングルサーブ・サイズのプラスチック製ボトルを使用する全ての飲料(ウォーターだけではない)の販売を禁止する案を提示した。
この規制が施行された場合、市は、ボトルに詰められた飲料を市の使用目的で購入することはなくなり、また、市の施設内や市の許可を得て開催されるイベントでの販売も禁止することになる。一方、市は、再使用可能な容器の使用を奨励するため、リフィル用水道水ステーションの数を増やす。
ボトルドウォーターの急成長に伴いPETボトルのごみが増えたことを理由に、一時期、ボトルドウォーターそのものの販売を控える動きが米国の多くの自治体で見られたこともあった(弊社業界情報2013年1月8日付及び2013年12月19日付に関連記事)が、現在、プラスチック容器を利用する飲料は、ウォーターを中心に、コンビニ、スーパーなどの小売店で販売されている。
ボトルドウォーターに使用されるプラスチック製ボトルはリサイクル可能であるにも関わらず、例えば、サン・ルイス・オビスポでは、2015年から2016年の間、購入されたボトルの41%しかリサイクルされていない。米国全体となるとその数字は31%とさらに悪くなり、飲料容器の中でも最低のリサイクル率を示している (同年のアルミ缶リサイクル率は54.5%、ビンは41.3%)。
米国では、プラスチックのごみ削減を目的に、プラスチック製ボトルを使用するウォーターの販売を禁止する組織が、市に限らず、高校、大学、国立公園でも見られるが、サン・ルイス・オビスポは、その規制をウォーターを超えて炭酸飲料、アイスティー製品やスポーツ飲料を含む全ての飲料にまで対象を広げている点で、画期的であり、実現すれば全米で初の組織となる。消費者の健康面を考慮すれば、このアプローチはもっともである。たとえば、2013年ボトルドウォーターの構内販売を禁止したバーモント大学では、その後、プラスチック製容器を使用する“その他の”飲料の売上が逆に6%も増加したとの調査結果が出ている。ボトルドウォーターに代わり水道水を飲む人が増えると思いきや、学生たちは、健康面では良くないとされる他の高糖度炭酸飲料を多く飲むようになっていたことが明らかになった。そもそもプラスチック製ボトルは環境によくないとしながら、炭酸飲料や果汁飲料にはプラスチック製ボトル使用を許容していては、いつまでもプラスチック製ボトルの問題は解決しない。
1990年に、全米で初めて、バー、レストラン及びショップ内での喫煙を禁止した市、サン・ルイ・オビスポは、他の市に先駆けて再び環境・健康問題解決を試みようとしている。

(The Tribune, Jan.7, 2017)

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