米国ビール業界、今年そして2017年

2016年12月15日

毎年売上を伸ばし続けてきたクラフトビールの人気が、ピークに達したのではないかと初めて報道されたのは、昨年から今年にかけてであった。そして今年3月には、米国クラフトビール業界を代表する団体、ブリューワーズ協会が、クラフトビールの輸入量が前年ほどの勢いがないことを報告した。ボストン・ビール社はクラフトビールは急速に“飽和状態”に近づいていると描写し、ブリューワーズ協会はむしろ“成熟期”という言葉でその状況を伝えた。クラフトビールの成長の勢いが前年ほどにはないことは確かである。
米国消費者は、多過ぎるクラフトビールの種類に多少うんざりしてきているのではないかと、10月、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社CEOはコメントしたが、その数日後には、それに同意するコメントがモルソンクァーズ社CEOにより述べられた:クラフトビール・フレーバーの過剰供給を、おそらく誰もが感じ始めている、と。
一方で、今月初旬、米国内のクラフトビール醸造所の数が初めて5,000の壁を越えたことが伝えられている。
米国ビールのトレンドはどう変化しつつあるのだろうか?
今、明らかな動きが2つあると言う。1つはビールの成分の公開。これは米国ビール業界に限らず飲料メーカー各社が既に取り組み始めている。そしてもう1つは、酔っぱらってしまうほどには飲まない、飲みすぎない今の若年消費者の嗜好に向けての戦略である。ここ12ヵ月の間、米国市場は“アルコールフリー”のビール発表であふれた。最も注目されたのは、5月に、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社カナダ部門が発売した、バドワイザーのアルコール含有量 0% (abv)版、”プロヒビション・ブリュー”だ。デンマークで成功した試験販売に続き、カールスバーグ社のノンアルコール・ビール、ノーディックがその販売を欧州にまで広げる可能性もある。ハイネケン社もまた、ノンアルコール及び低アルコール・ビールを欧州市場で発表、好評を博している。
2017年は、少なくとも、より低いアルコール含有量のビールが多く見られそうである。

(just-drinks.com, Dec.14, 2016)

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