リサイクリング・センター廃業が続く、米国カリフォルニア州

2016年 8月16日

日々の稼ぎを、廃棄容器回収に依存する人々は、米国カルフォルニア州にも多い。同州が30年間提供してきた容器デポジット・プログラムのおかげで、廃棄されたアルミ缶、PETボトル、ビン等を回収することで、現金(1点につき5セントか10セント)を得ることができる。あるリサイクリング・センター近くの高架下に住むホームレスは、政府からの援助を一切受けず、毎日容器を回収し1日40~50ドルを稼ぐことで充分暮らせるという。
しかし最近、カルフォルニア州で、アルミ缶回収から得る収入に依存する人々の生活が、リサイクリング・センター存続の危機により脅かされている。過去18ヵ月にわたり、同州のリサイクリング・センターの多くが廃業に追い込まれている。その数は全体の20%にも及ぶ。そして今年1月31日、リサイクリング会社一社が、州内に散らばる同社所有のセンター計191ヵ所の閉業を発表したことで最悪の事態に陥っている。
2015年、カルフォルニア州では180億点以上の容器をリサイクルしたが、その大量の材料をリサイクルするという工程には、国際商品市況、エネルギー市場、政府補助金の影響が大きく及ぶ。現在の問題は、再生材料の市場が、過去3年の間に40~50%落ち込んだことにある。そのため、現在は、バージン材が安く手に入るため、アルミ缶にしろプラスチック・ボトルにしろ、製造側にとってはバージン材を使用する方が容易な状況にある。また、ビンやプラスチックのスクラップ価値は、そもそもそれを回収する運営コストを賄わないため、カルフォルニア州では、よりお金になるアルミ缶とともにこれらの材料も引き受けるよう業者に補助金を提供している。バージン材が安い現在、アルミ缶のスクラップで稼ぐのを諦め補助金に頼る業者が増えてきており、それでも会社を存続させることが困難な状況だ。環境にとっては迷惑な話である。カルフォルニア州の全般にわたるリサイクリング率は昨年、2010年以来初めて50%を下回った。
リサイクリング・センターが直面するプレッシャーのもう一つは、廃棄容器回収に依存するホームレスが近隣にいることを嫌う住民の苦情だ。これは特にリサイクリング・センターが比較的裕福な人々が住む同州郊外にある場合に見られる傾向で、リサイクリング・センターを別の地域に移させるということが、彼らにとり、ホームレスを日々見ないで済む効果的な方法のひとつ
となるようだ。

(the guardian, Aug. 8, 2016)

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