ボール社とレクサム社 その後
2016年 5月12日
製缶会社として世界最大のボール社による、同業界世界第2位のレクサム社の買収は、その金額において製缶業界史上最大の取引となった。それは、ボール社が米国市場で持つシェア約37%(2013年時点)の地位に、レクサム社が欧州市場で占めるシェア39%を始めとして、南米、中東そしてインドの各市場にも保持する高いシェアを全て加えることを意味する。そしてそれは、ボール社に、製缶市場の需要・供給の両者において、非常に大きな影響力を与えることになる。
飲料缶需要の面では、ボール社は今後、世界中のビールならびに炭酸飲料業界の顧客と同等以上のパートナー関係を築くことが可能となる。缶供給の面から見ると、世界で独占的な生産者となるボール社は、アルミ購入において主要顧客となり、世界中のアルミ供給会社に対し優位な取引が望める。
ボール社の来年の売上は、ビール・メーカー、ハイネケン社所有のメキシコにある製缶(ガラスも含む)資産買収を終える競合相手、クラウン・ホールディング社の売上90億ドルを大きく上回るものと予測されている。
この買収は、ボール社に、欧州、ブラジルさらには米国で拡張する機会を与えるだけでなく、スカンジナビア、チリ、インドそして中東地域といった新市場を開拓するチャンスを与える。さらには、ボトル缶を含む特殊製品や特殊サイズの市場をも手に入れる。米国で持つボール社独自のアルミボトル「Alumi-Tek」能力に加え、レクサム社が欧州で製造するFusion D& Iボトルを補完する米国テキサス州のD&Iボトル製造ラインも獲得する。そして、スリーク缶には、2つの新しい種類 - 400ml と473mlサイズ - が加えられる。
ボール社は、このような特殊缶や特殊サイズを多く製造するレクサム社の工場を手元に残し、特殊サイズ缶製造の割合が少ない工場をむしろ売却する方向にあるようだ。
(The Canmaker, May 11, 2016)