ボール社、レクサム社買収に向け、資産売却の準備進める
2016年 2月23日
世界最大となる新たな飲料缶製造会社は、その資産では、かつて望んでいたものよりも小さくなりそうだ。
すでに報道されているように(弊社業界情報2016年1月19日号に関連記事)、製缶会社ボール社によるレクサム社買収についての承認には、多くの資産売却が条件とされている。その結果、ボール社は、買収から実際に得られる資産の40%と同等、あるいはそれ以上の資産を売却する必要がある。
それでも世界最大となる新会社は、北米市場でおよそ半分のシェアを、欧州では39%、そしてブラジルでは57%のシェアを維持することになる。さらには、両社が相互補完し合う形で、結果的に、世界各地に製造工場を多く所有することにもなる。
レクサム社は、ボール社よりも多くの新興諸国においてすでに強い存在であり、また、今需要の増えている特殊缶(缶サイズの多様化)の開発・生産にも先んじていると報告されている。レクサム社は、新興諸国の中でも特にブラジル、ロシア、インドそして中東地域にて大きなシェアを維持している一方、ボール社は中国、ベトナムならびにミャンマーに進出を果たしている。両社が一つになることで得られる地理的な優位性が、ボール社の本拠地である米国市場での高糖度炭酸ソフトドリンクの売上減少に伴う損失の相殺に寄与するであろうことが期待できる。
ボール社・レクサム社の結合が1年前に発表されてから、ビール・メーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社による、ビール業界最大規模となる同ビール・メーカー、SABミラー社の買収を発表した。飲料缶製造会社にとっての顧客、飲料メーカー、の規模が大きくなっている。飲料缶製造会社は、長期的に見て、自身も大きくなることで、顧客の言うがままにならないような態勢を作っているとも言える。
(The Financial Times, Feb.18, 2016)