ボール社のレクサム社買収条件は、予想以上の資産売却

2016年 1月19日

製缶会社ボール社(米国コロラド州)による、競合相手レクサム社(英国)の約63.5億ドルを投じての買収は、ボール社が欧州に所有する製缶・製蓋工場計12工場を売却することに同意したことで、EU(欧州連合)により承認されたことが先週末明らかになった。
当初11工場の売却とボール社が予想していたが、世界最大の飲料缶製造会社二社が統合することで、欧州経済地域に起こり得る競争力低下、製品価格の上昇を指摘したEUは、最終的には、レクサム社の2製缶工場売却と合わせて、ボール社が欧州に所有する飲料缶製造工場8工場ならびに2製蓋工場、そしてドイツ、英国ならびにスイスに持つ同社の開発センター、サポート・センターも合わせた売却を条件としてボール社に提示した。これらの売却が実施されたのちも、ボール社とレクサム社を合わせた飲料缶生産能力は依然世界一であり30%のシェアを占めることになる。
売却される
工場の買い手としては、同じ製缶会社であるクラウン・ベヴキャン社、キャン・パック社(ポーランド)、中国の製缶会社が挙げられている。
これらの条件でレクサム社の買収が完了した折には、ボール社/レクサム社は、レクサム社が欧州にそのまま維持する飲料缶製造工場13工場、同じく製蓋工場2工場、ロシアの3製缶工場と2製蓋工場、ボール社がフランス、セルビアならびにポーランドにそれぞれ有する製缶工場計3工場、ならびに英国の研究・開発センターを維持することになる。
その他の地域については、ブラジル当局がすでに、ボール社が2工場を売却することを条件に、両社の統合を承認している。この結果、ボール社はブラジルに2工場のみ残すことになるものの、南アメリカ地域としては、レクサム社が12の製缶工場を有している。米国政府については、現在承認待ちの状態にある。ボール社は、今後も、米国コロラド州ブルームフィールドを拠点とする予定。

(The Canmaker & The Wall Street Journal, Jan.15, 2016)

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