米国クラフトビール・メーカー、缶不足に悩む
2015年12月15日
米国のクラフトビール・ブームは、多くの小規模ビール醸造所に利益をもたらしている一方、容器のビンから缶への移行に伴い、小規模なビールメーカーに缶入手が難しくなっている。
クラフトビールでは、16ozサイズ缶の需要が高い。バドワイザーやクァーズをブランドに持つメジャービール・メーカーが12ozサイズを好んで使用するため、彼らと差別化を図るためにも、やや大きめの16ozサイズは、クラフトビール・メーカーにとり理想的な容器となっている。
クラフトビール業界ではビンはまだ特別な容器であることに変わりはないが、ファンキーでユニークなデザインが可能な缶は、若い世代のビール・ファンの心をつかむのに最適な手段であるとしてクラフトビール・メーカーの間で支持されるようになり、今ではクラフトビール缶は多くの消費者に受け入れられている。
クラフトビール・メーカーが一度に数千缶しか必要としなかった数年前は、移動式缶充填業者を通じ経済的に缶を入手・充填したり(弊社業界情報2011年11月22日付に関連記事)、または、世界的な製缶会社の一社、クラウン・ホールディングズ社より缶を入手することが可能であった。クラウン・ホールディングズ社は、同社競合会社レクサム社ならびにボール社と比べはるかに少ない缶数を最低発注数としていたからである。ところが、昨今の缶の急激な需要増がクラウン社を圧迫し始めたため、同社はその最低発注数を他社と同様のおよそ155,000缶~20万缶に引き上げた。クラフトビール・メーカーにとり、それだけの数の缶の保管、そしてコストは大き過ぎると、関係者は話す。今夏から缶不足を実感し始め、納期は通常の2~4週間が12週間となる場合もあると一部クラフトビール・メーカーは言う。
クラフトビール・メーカーが最近直面する問題は缶不足だけではない。メジャービール・メーカーによるクラフトビール・ブランド発表、さらにはクラフトビール・メーカーの買収、そして卸売業者への影響力行使によるクラフトビール販売の圧迫等を、クラフトビール業界は指摘する。そして、最近発表された製缶会社ボール社によるレクサム社の買収は、缶の供給をさらに悪化させるのではないかと彼らは懸念している。
(The New York Times, Dec.14, 2015)