二大ビールメーカー買収が米国クラフトビール・メーカーに及ぼす影響
2015年10月29日
昨年、米国人が購入したビールのうちの11%は、小規模ビール・メーカーが醸造したいわゆるクラフトビールだ。その数字は2004年の2.8%から飛躍的に増加している。しかし、クラフトビール・メーカーにとっては、消費者の人気はとらえるだけでは十分ではない。最近発表されたメジャー・ビールメーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ(ABインベヴ)社によるSABミラー社の買収提示が彼らクラフトビール・メーカーを震撼させるのは、この二社が全米の主だったビール卸売業者を掌握しているからである。
例えば、ボストン・ビール社やシエラ・ネヴァダ社とならびクラフトビールの草分け的存在である、ニューヨーク・シティで人気の高いブルックリン・ブリューワリー社のラガーはストックホルムで入手できるが、カルフォルニア州など米国の多くの州で見つけることはできない。その理由のひとつは、ビールはほとんどの場合、卸売業者を通じて流通するが、その卸売業者の一部はABインベヴ社のようなメジャー・ビールメーカーの傘下にあるからだ。バドワイザーやバドライトのメーカーとして知られるABインベヴ社が、バーやスーパーでのクラフトビール販売を抑制させる目的でビール卸売業者を買収していないかを、司法省ならびにカルフォルニア州規制当局が調査中であることを、ロイター通信は今月報道した。
ABインベヴ社は米国で販売されるビール全体のうちの45%を、SABミラー社ならびにモルソンクァーズ社が同26%をそれぞれ醸造する。ABインベヴ社は、クラフトビール・メーカーには、国内に存在する3,300もの独立したビール卸売業者というオプションがあるとコメントするが、多くの都市では、ほとんどのバーや小売店とのアクセスを持つ卸売業者が、しばしばメジャー・ビールメーカーと深いつながりを持っているのが実情だ。(弊社業界情報2015年8月20日付に関連記事)
(The New York Times, Oct., 22, 2015)