アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社によるSABミラー社買収に立ちはだかる多くの難題

2015年10月20日

ビールメーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ(ABインベヴ)社が最近仕掛けた競合相手SABミラー社の買収は、先週、暫定的合意に至ったと発表されたが、大株主への支払条件を含めた最終合意内容は10月28日に明らかになる。しかしながら、関係者は、当局の承認を得るまでにはより長い時間がかかると見ている。
SABミラー社の買収は、ABインベヴ社が未だほとんど手を付けていない新しい市場への近道を提供する。例えば、SABミラー社は、ABインベヴ社がほとんどシェアを持たないアフリカ市場でその利益の29%を稼ぐ。
独占禁止の懸念から、ABインベヴ社は、SABミラー社の所有する米国ジョイント・ベンチャー、ミラークァーズ社の株売却を強いられるかもしれない。その点で見ると、SABミラー社の中国におけるJVで中国最大のビールメーカー、CRスノー社の株売却も標的にならないとも限らない。さらに問題が予想されるのは、SABミラー社が、アフリカで、コカ・コーラ社にとっての主要なボトラーであることだ。中南米市場でペプシコ社のボトラーであるABインベヴ社によって統括されるSABミラー社を、コカ・コーラ社が継続してビジネス・パートナーとするとは考えにくいからだ。コカ・コーラ社は、これまでもABインベヴ社の買収ターゲットの一社であると言われており、今後、この話は徐々に現実味を帯びるのかもしれない。

(The Economist, Oct., 17, 2015 / The Wall Street Journal, Oct., 14, 2015)

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