米国市場にあふれるボトルドウォーター
2015年 9月 1日
米国のボトルドウォーター販売量は昨年、前年比7%増加した。このまま伸びが持続されれば、2017年までには炭酸ソフトドリンク全体の販売量を上回ると予測されている。ボトルドウォーター・ブランド、ピュア・ライフやポーランド・スプリングを持つネスリー社は、Dr.ペッパー・スナプル・グループが売り上げた炭酸ソフトドリンクを上回る量のボトルドウォーターを売り上げ、結果的に米国市場のノン・アルコール飲料部門において昨年、米国第3位のメーカーとなった。第1、2位のコカ・コーラ社ならびにペプシコ社両社合わせて米国炭酸ソフトドリンク市場のおよそ2/3を占める一方、ボトルドウォーターについては両社合わせたシェアはおよそ1/5となる。
2000年から2014年にかけて、米国人一人当たりの年間ボトルドウォーター消費量は倍増した一方で、炭酸ソフトドリンクは約3/4に減少した。そして今、米国の飲料市場は、少し前までは存在すらしていなかった数多くの新しいボトルドウォーター・ブランドが乱立する状態を呈している。
環境問題の面では、ボトルドウォーターは依然として非難の的である。少なくとも18の米国国立公園(グランドキャニオン、マウント・ラシュモアを含む)がボトルドウォーターの販売を禁止している。ボトルドウォーターはまた、多くの大学キャンパスでも歓迎されていない。この5月には、カルフォルニア州干ばつの事態に直面し、ネスリー社に対して、同州の水の利用を中止するよう要求する反対運動が起きている。
このような環境面での課題は、しかしながら、米国消費者をボトルドウォーターから遠ざけることはない。市場には、消費者の目を惹く、魅力的なネーミングやボトルデザインを持つウォーター、広告で有名人を起用するウォーターであふれている。最近では、ウォーターそのものの種類も広がり、バーチ・ウォーター、メイプル・ウォーター、カクタス・ウォーターも登場する。著名な投資家をバックとするブランドもめずらしくない。
ボトルドウォーターのこれほどの人気は、米国消費者のハイドレーション(積極補水)に対する強迫観念により生み出されていると言われる。市場調査会社ミンテル社により実施された最近の調査では、ボトルドウォーターを飲む米国人の29%が、ボトルドウォーターを携帯していないと落ち着かないと答えたとのこと(弊社業界情報2012年11月14日付に関連記事)。
(The Wall Street Journal, Aug. 27, 2015)