続くメジャーによる地ビールメーカー買収
2015年 5月19日
世界メジャー・ビール・メーカーの一社、SABミラー社(英国)が、英国地ビール活動のパイオニア的存在として知られるミーンタイム・ブリューイング社を吸収する。地元で人気の高いロンドン・ペール・エールやロンドン・ラガーを醸造する地ビール・メーカー、ミーンタイム社のビール販売量は、昨年には前年比58%増を記録した。地ビールの近年の人気が確実にメジャー・ビールの市場シェアを奪っており、同年、英国のビール市場全体の伸びはわずか1%であった。
ミーンタイムのような小規模な地ビール・ブランドが巨大ビール・メーカーに買収されることで地ビールならではのアピールを失うと失望感を露わにする地ビール・ファンが少なからずいるのは確かである。株主が変わるという理由だけで、ミーンタイム・ブランドが突然地ビールでなくなるはずがないと、ミーンタイム社経営陣はコメントする。ミーンタイム社は、SABミラー社の配送ネットワークを利用して、英国以外の欧州市場への輸出拡大を狙う。
もう一つの世界メジャー・ビール・メーカー、ABインベヴ社(ベルギー)は、2011年に、米国地ビール・メーカー、グース・アイランド社を買収したのを皮切りに、昨年には地ビール・メーカーのブルー・ポイント社ならびに10バレルズ社二社を立て続けに買収したため、ソーシャル・メディアを通じ批判が相次いだ。SABミラー社のモルソン・クァーズ社との米国におけるジョイントベンチャー、ミラークァーズ社は、すでに地ビールとして米国でブルー・ムーンを販売している。
2014年、SABミラー社は2億4,500万ヘクトリットルのラガーを売り上げた。他方、ミーンタイム社の年間生産能力は12万ヘクトリットルである
(Reuters, May 15, 2015)