フレーバー・モルト飲料は、米国ビール・メーカーを救えるか
2015年 2月12日
ビール・メーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ(ABI)社は、来週より、3種類のカクテル・フレーバーをそろえるバドライト・ミックステイルの米国国内販売を開始する。そして来月には、やはりビール・メーカーのミラー・クァーズ社が、すでに人気急上昇中のレッズ・アップルエールの第3弾を発表する。米国市場にて5年連続、スピリッツにシェアを奪われ続けるビール・メーカー(弊社業界情報2015年2月8日付に関連記事)は、今のカクテル人気に乗じる戦略に出ている。
製造法はビールに近いがカクテルのようなフレーバーに仕上げる、いわゆる"ハイブリッドBrew"の売上は米国で急増しており、1千億ドルの米国ビール市場において、ここ5年の間にシェアを4%と倍増させた。この種のドリンクは、ビールよりもアルコール度数が高く、ビールよりも甘さのあるアルコール飲料を好むミレニアル世代をターゲットにする。業界ではフレーバー・モルト飲料として知られるこのドリンクは、ビール・メーカーに、ワインやスピリッツからシェアを取り戻す機会を与えている。アルコール度数が高く、苦いビールよりも甘く飲み易いソーダに近い味のフレーバー・モルト飲料ゆえに、それが10代の若者に及ぼす悪影響の可能性を指摘する団体もあり、それらの団体の一部は、フレーバー・モルト飲料の小売店での販売を規制するよう政府に働きかけている。
昨年のモルト飲料の売上増は、主力ビール・ブランドの売上が低迷を続けるABI社とミラー・クァーズ社各々に明るい話題となった。カクテルのようなハイブリッドBrewのカテゴリーに、2012年バドライト・ライムA-Ritaを掲げ参入したABI社が、現在、その市場で25%のシェアを持ちリードしており、シェア20%の独立系メーカー、Mike's Hard Lemonade社、シェア12%のミラー・クァーズ社がそれに続いている
(The Wall Street Journal, Feb. 10, 2015)