炭酸ソフトドリンクの奮闘、米国ファースト・カジュアル・レストランの場合
2014年12月25日
米国の炭酸ソフトドリンクの9年連続売上減少(ベヴァレジ・マーケティング社調べ)は、ファースト・カジュアル・レストラン産業にもその影響を及ぼしている。理由としては、消費者の健康志向を受け、レストランが子供用メニューから炭酸ソフトドリンクを外し、それに代わりミルクなど健康により良いとされる飲料を提供しているからだ。第2に、炭酸ソフトドリンクそのものの単価が値上がりしたこと。そしてもう一つ、炭酸ソフトドリンクが、他の飲料、例えばスペシャルティ・コーヒー、フレーバー・アイスティー、果汁飲料、ボトルドウォーター、スポーツ飲料など他の飲料からの激しい競争にさらされているからだ。
消費者は今何よりも飲料の多様性に期待している。それは過去に、ファーストフード・レストランに、質の高い食品提供を要求してきたのと同じだ。その後、食品は著しく改善されてきたが、飲料に関して言えば、40年前とそれほど変わりがないというのが現状だ。そのような状況下生まれたのが、いわゆるCraft Soda(人気の地ビール「Craft Beer」から派生)である。最近、米国市場では、まだ数は少ないながらも、豊かな発想の下に創られたホームメイド飲料を目にするようになった。
同様のコンセプトで注目されているのが、ファースト・カジュアル・レストランで使用される飲料ディスペンサー、コカ・コーラ社のフリースタイル(弊社業界情報2011年4月19日号に関連記事)ならびにペプシコ社によるスパイア。従来では考えられなかった100種類以上に及ぶ飲料オプションを提供する上に、消費者に独自の飲料を創る機会を与えている。他方、スターバックス社のディスペンサーでは、炭酸の強さを消費者が選択できる。あるレストラン・チェーンでは、フリースタイルを設置したのち売上が倍増した。フリースタイルが炭酸・非炭酸からダイエットにディカフェの飲料まで網羅している点が売上増の理由だという。もう一つ重要な点は、このような技術が、レストラン自身にも独自の飲料を創る機会を与えていることだ。例えば同チェーンではカスタム・ブレンドの非炭酸チェリー・ライムエイドを開発、コークの次に売れる飲料となっている。米国のコーヒー/ティー・チェーンでは、さらに一歩進めて、独自で開発した炭酸飲料のみを販売する。カリブ・コーヒー社は炭酸ティー飲料と果汁飲料とのミックスを提案、最終的にグリーンティー・レモネード、ピーチ・ブラックティーをメニューに加えた。スターバックス社では、業界最大の社内ソーダ・プログラムを発表、同社独自の炭酸ソフトドリンクを開発し、米国国内店舗一部で提供を開始している
(QSR, December, 2014)