バドワイザーを飲んだことのない米国の若者たち

2014年11月25日

米国ノース・カロライナ州グリーンズボロにある、ノース・カロライナ大学の学生や卒業生で賑わうあるバーでは、69本のタップ(ビールサーバーの注ぎ口。つまり69種類の樽生ビールがある)を備えるが、一番奥にあるバドワイザーのタップをこれから取り外すという。通称'Bud'で知られるバドワイザーを注文するのは、年配の男性か地元の若者に限られており、常連客は地ビールを好むから、というのが主な理由だ。これは、なにもここに限られたことではなく、今や米国どこにでも見られる光景だ。自称ではあるが'King of Beers'バドワイザーは、もはや昔の話のようだ。今の21~27歳のビールを飲む若者の44%が、バドワイザーを一度も飲んだことがないというある調査結果を、バドワイザーの生みの親、アンハイザー・ブッシュ・インベヴ(ABI)社は明らかにしている。こういった若年層だけがバドワイザーの売上に影響をおよぼしてきたわけではない。バドワイザーの米国での売上は、1988年の5,000万バレルをピークに、昨年の1,600万バレルに至るまで25年間下降しつづけている。その間、バドワイザーと同じABI社により醸造・販売されるバドライトが、'Bud'の市場を侵食し、2001年には米国で最も売れるビールとなった。2011年にはその座をクァーズ・ライトに奪われた。
21~27歳の若年層を'Bud'に惹きつけるために、今後、同社は、その年代をピンポイントで狙う販促活動を本格的に行う構えだ。
1,000億ドルの米国ビール市場で、現在、バドワイザーは、7.6%のシェアを占める(5年前は10%、10年前は14.4%)。一方、20代のビール消費者層で、外で飲む飲料として、地ビールは15%を占め(それよりも上の世代の層では10%)るという。また、その消費者層は、サイダー(リンゴ酒)、フレーバー・モルト飲料、カクテルもよく消費するとの統計が出ている

(The Wall Street Journal, Nov. 23, 2014)

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