なぜメジャー飲料メーカーは、90%再生アルミから作られる飲料缶を使用しないのか

2014年11月 4日

世界最大のアルミ・リサイクリング会社であるノヴェリス社(米国ジョージア州アトランタ)は、エヴァーキャン(evercan™)と呼ばれる、90%再生アルミを含有する飲料缶用アルミ材を製造する(弊社業界情報2013年5月7日付ならびに2014年4月15日付に関連記事)。同社は、そのアルミ材を、今月初旬にドイツにて正式に操業開始した、同社が2億6,000万ドルを投じた世界最大のアルミ・リサイクル工場にて本格的に製造する。このエヴァーキャン開発により、ノヴェリス社は循環型経済を保証し、クローズド・ループへと移行する過程において、業界を導いていくと同社は意気込む。環境への負荷低減を標榜するメージャー飲料メーカーはしかしながら、今のところエヴァーキャンを採用する気配はない。現時点で採用を決めた飲料メーカーは、ジョージア州の地ビール・メーカー、レッド・ヘア・ブリューイング社一社のみである。メジャー飲料メーカーがエヴァーキャンを採用しない理由は各社により明確には説明されていないが、コカ・コーラ社は、再生アルミを含有するアルミ缶シートを様々な供給会社より入手しており、エヴァーキャンを採用するということは、アルミ缶シート供給先をノヴェリス社一社に限定することになるとコメントしている。また、コカ・コーラの場合には、環境への負荷低減に関わる投資が、サトウキビから作られるプラントボトルに代表されるPETボトルに主に向けられている。同社飲料の世界全体の売上のうち、PETボトルを使用する飲料は約60%を占める。
ノヴェリス社は、同社の再生アルミの多くを自動車業界へ売り上げている。しかし自動車セクターは同社収入の9%(2014年度予想)を占めるのみ。同社のビジネスの62%がアルミ缶に関連するものだ。
飲料缶アルミ再生はここまで来たが、そこから先はまだ簡単に進みそうにない

(The Gardian, Oct. 30, 2014 / grist, Oct. 30, 2014)

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