インスタント・コーヒー

2014年 7月15日

米国人のコーヒーの嗜好は、近年、高級志向になってきているようだが、世界のコーヒー・トレンドはその逆、つまり、インスタント・コーヒーに向かっていると、市場調査会社ユーロモニター社は報告している。熱湯で溶かすだけでコーヒーが完成する粉末状のインスタント・コーヒーの世界全体での売上は、2000年以降3倍近く伸びている。インスタント・コーヒーは、世界で消費される小売販売コーヒーの34%以上を占める。ではどこでインスタント・コーヒーが多く消費されているのかと言えば、それまでコーヒーを飲むという習慣・伝統がなかった地域で特に人気が高くなる傾向があるとしている。インドと中国が最速で売上を伸ばしているという事実から、それは理解できそうだ。さらに、オーストラリアとニュージーランドでは、小売販売されるコーヒーの75%以上がインスタント・コーヒーであり、世界のどの地域よりも最も高い割合である点も興味深い。一方で、コーヒーの味に関してはこだわりのあるというイメージの強い西欧でもインスタント・コーヒーの利便性には勝てない模様で、市場全体の25%を示している。
インスタント・コーヒー人気において唯一例外的なのが米国である。インスタント・コーヒーを好まない点で、米国は非常に独特で、2008年以降、米国でのインスタント・コーヒー売上は伸びておらず、昨年ではわずかながらも減少したほど。米国人は、コーヒーに関して言えば利便性を重視しながらも高品質を求めるようだ。米国でのコーヒー・ハウスの人気、また最近ではシングルカップ用コーヒー・マシーンから作られるコーヒーの人気の高さがそれを説明している。スターバックス社が最近発売したインスタント・コーヒーの売上は、世界各国で好調だが、米国だけは例外だと言われている。世界最大のインスタント・コーヒー・ブランド、ネスカフェ社においてもまた長年米国ではその売上は低迷している。
世界各地域のインスタント・コーヒーの小売販売コーヒー全体に占める割合:北米10%弱、アジア・パシフィック60%超、東欧50%超、中東・アフリカ40%超、中南米30%超、西欧25%超

(The Washington Post, July 14, 2014)

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