米国、次はエコノミー・ビール?
2014年 3月 4日
ここ数年、地ビール、サイダー(リンゴ酒)そして輸入ビールに多大なる力を注いできたメジャービール・メーカー。そのうちの二社、ミラークァーズ社とアンハイザー・ブッシュ・インベヴ社(ABInBev)社は、今、米国労働者層が好む飲料、「安価な」ビール、に再び注目し始めている。米国ビール市場で合わせて約3/4のシェアとなる両社はそれぞれ、キーストーン・ライトならびにブッシュ・ライトといった従来からの「エコノミー(経済的な)」ビール・ブランドの販売促進に今年あらためて力を入れる。
経済不況に伴い、特に労働者層でのビール売上減が続いていた中、例えばミラークァーズ社は、ブルームーンやLeuven、またABInBev社はバドライト・ライムなど、価格の高めのブランドに販促活動を集中させていた。昨年では、プレミアム以下のビール売上が3.5%減少したが、プレミアムと位置付けられる地ビール、輸入ビール等の売上は11%伸びた。経済状況が悪い間、エコノミー・ビール消費者は、他のブランドに移るのではなく、ただ単に買う量を減らしてきたと言われる。一方で、昨年、エコノミー・ビール消費者は、ビールに年間平均252ドル使い、その購入のために店に18回出かけたのに対し、地ビールを好む消費者では、ビールに費やした金額は昨年平均169ドル、店頭には11回足を運んだだけだったとの統計もある。また、エコノミー・ビール・ファンは地ビール等をあえて選択することはないかもしれないが、地ビール・ファンは、家庭用にエコノミー・ビールをパックで買い置きしておくことはめずらしくないであろう。
年間310億ドルの米国ビール市場でエコノミー・ビールは60億ドル、1/5のシェアを持つ。結局、ビールメーカーにとっては無視できない存在だ。経済状況が上向きつつある今、ビールメーカーは、ビール人口の多い労働者層の消費力へ再び目を向け始めている
(Bloomberg, Mar. 1, 2014)