ペプシコ社が持つ強さ
2013年 6月27日
ペプシコ社は、米国の炭酸ソフトドリンク(CSD)市場占有率で、これまで常にコカ・コーラ社を越えることはなかった。この状況は今後も続くのだろうか?
ペプシコ社の真の強みは、ペプシコ社を著名にさせているCSD市場からでは見えにくい、その多様性にある。コカ・コーラ社がその収入の70%以上をCSDの売上から得る、飲料中心のメーカーである一方、ペプシコ社は、その収入の51%をスナック事業から得ている。ここ数年間、米国を含む先進諸国でのCSD売上が減少し続ける最大の理由は、肥満、糖尿病など健康に関わる問題とCSDとの関連性にあり、ますます健康志向が進む先進諸国の消費者はCSDから離れる傾向にある。この傾向が続くと、CSDへの依存度が高いコカ・コーラ社には、ペプシコ社よりもより大きな影響が及ぶと思われる。
その米国CSD市場は、コカ・コーラ社により、コークとダイエット・コークという2ブランドだけでシェア27%、そして全てのブランドを含めると42%という絶対的シェア(ペプシコ社は28%)で占められている。他方、世の健康志向に応じて今急成長を遂げている飲料カテゴリー、つまりボトルド・ウォーター、果汁飲料、スポーツドリンク各々でペプシコ社製品が占める割合は、コカ・コーラ・ブランドのシェアよりも既に大きい点は、ペプシコ社が持つ強みと言える。
海外に目を向けると、CSD市場では、先進諸国・新興諸国ともにコカ・コーラ社は、長年、最大のシェアを占めてきた。コカ・コーラ社は、新興諸国のCSD市場でもペプシコ社を上回り、例えば中国では15%以上、インドでは54%のシェアを握る。新興諸国における将来の経済力上昇・人口増加を考えると、今後この地域で成長が予想されるCSD市場のこの現実は、ペプシコ社には厳しい。しかしながら、今日、ネットで世界中に瞬時に伝わる情報伝達速度を考慮すると、先進諸国で広がる健康志向ならびにCSDの問題等の情報が新興諸国に伝わり、浸透し、想像以上に速くCSD売上増に影響を及ぼす可能性も十分にある。この場合、ペプシコ社の持つ新興諸国でのスナック事業成長の潜在力が、将来有利に働くことも考えられる
(Trefis, June 20, 2013)