米国 ビンで炭酸飲料が売れる

2013年 6月24日

ビンは、ここ数十年、飲料容器としてその存在を薄くしつつあるが、最近、低迷の続く米国ソフトドリンク業界で、需要増というまれな現象を示している。ここ2年の間、ビンに詰められる炭酸飲料の売上増加率が、PETボトルならびにアルミ缶で販売される炭酸飲料の数値(この数値には、スーパー、大規模小売店等のデータを含むが、コストコやコンビニ等での売上データを含まず)を上回っていると、情報解析会社ニールセン社は報告する。この傾向は、近年、米国三大ソフトドリンク・メーカー、つまりコカ・コーラ社、ペプシコ社ならびにドクター・ペッパー・スナプル社が、炭酸飲料販売で、容器・サイズ・価格それぞれにおいてより広範な選択肢を消費者に提供する必要性を理解し始めたことにある。今日、売上212億ドルの米国ソフトドリンク業界においてわずか2%しか占めないビンは、同業界全体の業績不振を解決するほどの存在には至らないもののの、ビンは、10代・20代のミレニアル世代、ベビー・ブーマー、そして中南米出身移民といった、ソフトドリンク・メーカーにとっての主要消費者層に多大にアピールする容器である。さらに、ビンは、他の容器と比較し、プレミアム飲料用に使用されることが多いため、利益率も高いこともメーカーには魅力だ。今年4月13日までの52週間、米国でビンで販売された炭酸飲料の売上は、2.6%増であったのに対し、PETボトルの場合は0.8%減、アルミ缶では1.9%減であった。さらにその前の1年間では、三形態ともに増加したが、4.5%増のビンは、2.5%増のPETボトル、1.4%増のアルミ缶をやはり上回っている。
ペプシコ社は、今年、全米で12オンス・サイズのビンを使用してペプシならびにマウンテンデューを販売している。下部が渦巻き状にデザインされたこのビンに入れられる飲料はともに、現在米国で一般的に甘味料として使用されるブドウ糖果糖液糖ではなく、砂糖で甘くすることで、高齢者層には昔懐かしい味が、そして、若年層にはビンがむしろおしゃれな容器として、それぞれアピールすると同社は見ている。一方のコカ・コーラ社は、誰もが知る、同社の象徴であるコントゥアー形状で長年ビンを限定的でありながらも使用しており、数年前からはそのビン供給を再び増やし始めた。ドクター・ペッパー・スナプル社は、三社の中ではビンでの提供が少ないが、メキシコを始めとする中南米諸国ではビンで炭酸飲料が広く売られているため、中南米系移民へのアピール度は高いと見ている。ビンは、米国ソフトドリンク・メーカーにとり、今、戦略上有効な手段のひとつである

(The Wall Street Journal, June 20, 2013)

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