リンゴ酒、米国へ徐々に浸透

2013年 4月 9日

アイルランドや英国では、リンゴ酒(サイダー)は、ビールと共存し、居酒屋でも同等に扱われているが、米国ではまだそこまで敬意を表されていないのが現実だ。しかしその状況は変わりつつある。
オレゴン州の人気地ビール・メーカー、クラフト・ブリュー・アライアンス社がスクエア・マイル・サイダー社ブランドを先週発表したのが最新の米国リンゴ酒関連ニュースであり、米国で最も著名な地ビール、サミュエル・アダムズの生みの親であるボストン・ビール社、さらにはアンハイザー・ブッシュ・インベヴ社は、すでにリンゴ酒事業に参入している。2012年には、モルソンクァーズ社とSABミラー社の米国ジョイント・ベンチャーであるミラークァーズ社が、米国ミネソタ州を拠点とするリンゴ酒生産者クリスピン社を買収、ミラークァーズ社地ビール事業へ組み入れる計画だ。リンゴ酒は、米国ビール市場の中では1%にも満たないシェアであるが、2012年の米国スーパーならびにコンビニでのリンゴ酒売上は、前年比84.5%増との報告もある。これは、同時期のビール全体の売上1.5%増、ワイン5.6%増、地ビール17%増をはるかに上回るペースだ。
ビール業界にはリンゴ酒事業へ投資する動機が十分にある。それは、リンゴ酒を消費するおよそ半分が女性である点だ。女性によるビール消費は約20%にしか至らない。また、リンゴ酒は、1ケースあたり平均約35ドルで売れるのに対し、輸入ビールは29ドル、地ビールですら33ドルだ。リンゴ酒は、ビールとほぼ同じアルコール度数4.5~6.5%でありながら、商品購買層のみならず収益をも拡張させる可能性をビール・メーカーへ提供する

(MSN Money, April 5, 2013)

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