欧州の飲料缶需要増に伴い、新規ラインならびに工場建設続く

2012年10月30日

世界的規模のスポーツ・イベントほど飲料缶売上増に寄与するものはないと言われる。欧州では、2010年開催のFIFAワールドカップ・サッカーから始まり、今年ポーランドとウクライナで開催されたUEFAサッカー・チャンピオンズリーグならびに英国の夏季オリンピックまで、まさに飲料缶需要が減ることはなかった。それは、2011年の、特に西欧のビールとソフトドリンク両者の需要低迷に関わらず、である(弊社業界情報2012年7月3日付に関連記事)。そして今年第1四半期の欧州における飲料缶売上は、飲料缶メーカー欧州(BCME)によれば、前年同期比7%増。このように今日まで続く飲料缶需要増は、2009年に稼動開始した、レクサム社(英国)のデンマーク工場(2ライン)、キャンパック社(ポーランド)のロシア工場(1ライン)ならびにクラウン社のスロバキア工場(2ライン)増設、さらには2011年には、ボール・パッケージング欧州社のセルビア・ベルグラード(2ライン)、またクラウン社のトルコIzmit工場(2ライン)それぞれの増強で対応してきた。そして、欧州における新工場操業開始ならびに建設は、今後も少なくとも2年間続き、依然続く飲料缶需要増に備える。クラウン社がトルコOsmaniye新工場を近辺の中東・北アフリカ市場向けに、キャンパック社がフィンランド工場を、それぞれ今年稼動開始した。また、現在、レクサム社がフィンランドに新工場を建設中、オーストリアには、エネルギー飲料のレッドブル用スリム缶のための4ライン目を建設中だ。キャンパック社はロシアで同社2工場目を建設している。2011年時点での欧州のD&I 飲料缶製造ライン総数は107ライン(うち、アルミ缶ライン82 : スチール缶ライン 25)、総生産能力760億缶。この市場でシェア40%を占めるレクサム社の当時のライン稼動率は95%だった

(The Canmaker, 2012 October Issue)

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