ロシア、よみがえるか巨大ビール市場

2012年 7月17日

ロシアは、中国、米国、ブラジルに続く生産量世界第4位の巨大ビール市場である。2000年から2007年の間に国内ビール生産はピークに達し、一人当たりの年間ビール消費賞は英国を上回る81リットルになった。2008年世界金融危機以降、しかし、ロシアのビール売上は減少の一途を辿っている(弊社業界情報2011年10月27日付に関連記事)。さらに、それまでアルコール飲料というよりはむしろ食事と共に味わう飲料として見られてきたビールが、2011年7月、ロシア政府により正式にアルコール飲料と定義された。これはつまり、自動販売機やキオスクでの販売は違法と見なされることである。2013年には、ビールの宣伝が全面的に禁止される。2020年までにロシアでのアルコール飲料消費量50%削減を目標に掲げるロシア政府の方針に、ビールは巻き込まれることになった。ビール・メーカーにとり暗雲立ち込めるこの状況は、しかし、伝統的なラガー・スタイルではない、RTDミックス・ビール飲料としての「スペシャル・ビール」には影響を与えていないようだ。この種の飲料は税率も低く設定され、低アルコール飲料化を進める政府の方針とも合う。また、そのような飲料は、過去無視されがちだった女性消費者や、新スタイルで甘めのフレーバーを好むと言われる若年層を惹き付け易い。ロシア人の約45%がこのスペシャル・ビールを購入すると言われている。スペシャル・ビール・ブームの火付け役は、6年前アンハイザー・ブッシュ・インベヴ社が発売した「Redd's」。その後2010年に、ロシア最大のビール・メーカー(現在デンマークのカールスバーグ社傘下)、バルティカ社が「イヴ」を発表、そしてEfes社(ハイネケン社傘下)も「ドルチェ・アイリス」で参入、競争は始まっている。低迷するロシア・ビール市場は、新製品を抱える世界のビール・メーカーによりよみがえりつつある

(beveragemanager.net, July 13, 2012)

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