新種ビール、長引く低迷から這い上がるための米国大手ビール・メーカーの戦略
2012年 5月24日
今やビールは、昔からあるビールだけではない。米国のビール・メーカー、ミラークァーズ社(米国)は、米国でのビール売上低迷の続く間、ココナッツ、アップルならびに新しいアンバー・ラガーを活用して、売上を上昇させる戦略だ。同社が今夏米国で発売するのは、女性をターゲットにした、今全米で人気の高いココナッツ・ウォーターで煎じた透明色のモルト飲料「ココBreve」、海外ではすでに販売されているアップル・フレーバー・ビール「レッズ・アップル・エール」、そして同社がより大きな市場での試験販売を計画する、小規模生産シリーズの第1弾「サード・シフト・ラガー」。米国を代表する大手ビール・メーカーは、近年、伝統的なビールとは対照的に売上の伸ばす、規模の小さな地ビール・メーカーやリカー販売会社にこれ以上シェアを奪われないようにと、このような新種のビール製品開発に必死だ。ターゲットは、米国で8,000万人近くを数える1980年以降に生まれた、デジタル世界に幼少期より馴染むミレニアム世代。彼らは、飲料ブランドに関しては、多様性を求め、一つのブランドにこだわらない傾向がある。キウイ・ライムとマンゴ・シトラスの2種をそろえるココBreveは、国内のライト・ビールとほぼ同じ4.2%のアルコール含有量がありながら、ナチュラル性を強調する、女性に的を絞ったビールだ。レッズ・アップル・エールは、マイクズ・ハードやツイステッド・ティーなどモルト・フレーバー飲料と競合するように仕上げられた5%アルコール含有量の飲料で、ミラークァーズ社の所有者の一社であるSABミラー社はすでにこのブランドを、各国の嗜好傾向に応じた甘さに調整し、ポーランド、ロシア、コロンビアならびに南アフリカにてすでに販売している。そして、サード・シフト・ラガーは、ミラークァーズ社自らは地ビールとは定義せず、比較的高価な地ビールよりもむしろ値を下げて多くの消費者にとり求め易いビールにする。少量生産にこだわり、地ビール・メーカーが使い成功している販売戦略を参考に販促されると言われている
(AdvertisingAge, May 21, 2012)