ココナッツ・ウォーター、米国で依然高い注目度
2012年 2月14日
炭酸ソフトドリンク売上の低迷が長引く米国飲料業界では、次の大ヒット商品となる可能性を、ココナッツ・ウォーターに見ている。米国で数年前から注目されているココナッツ・ウォーター(弊社業界情報2009年9月1日付に関連記事)は、現在、疲れた身体に水分補給を促す天然スポーツドリンクとして、ますます人気を集め、カートン、缶、ボトルの各種容器で販売されている。昨年度の売上は4億ドルに達し、1,000億ドルにおよぶ米国ノン・アルコール飲料市場においてはわずかなシェアではありながらも、著名ミュージシャン、モデル、プロスポーツ選手らを起用する宣伝効果も手伝い、2005年以来、その売上は、2005年以来毎年倍増している。米国最大の売上を誇るのはVITAココのブランドで、特に2010年のドクター・ペッパー・スナプル・グループとの提携により順調に成長している。コカ・コーラ社が、ココナッツ・ウォーター全米売上第2位のZICO社の20%株を2009年に取得したのち(弊社業界情報2009年9月3日付に関連記事)、過半数株取得オプションを近いうちに行使すると言われるのは、ココナッツ・ウォーターが一時の流行だけではない証かもしれない。ZICO社は昨年度売上を大きく伸ばし、第1位のVITAココ社との差を縮めている。そしてペプシコ社は、全米第3位のブランド、O.N.E.の販売を展開する(弊社業界情報2010年12月8日付に関連記事)一方で、ペプシコ社自身の「ネイキッド」ブランドのココナッツ・ウォーター売上を4位に維持する。ココナッツ・ウォーターは、ココナッツの中にある透明色のわずかに甘い果汁で、電解質、特にカリウムが豊富で、研究室で調合される他の人気スポーツドリンクとは異なり、天然であることが謳い文句。脂質も含まず、ほとんどのジュースよりも低カロリーであることも魅力とする。しかし、電解質の成分表示が実際のものよりも多く表示されているとの訴訟も何件か起き、例えば先週には、VITAココ社が支払いに応じることに同意したと言われる。一方、米国でのこの需要増により、ココナッツ不足が深刻化し、それまでブラジルからの輸入に100%依存していた米国企業は、供給地をインドネシア、フィリピン、タイにまで広げ、ココナッツ・ウォーター専用のココナッツ栽培を現地で促進している
(The Wall Street Journal, Feb. 11, 2012)